研究課題/領域番号 |
19K18605
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森山 真吾 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70748756)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 女性泌尿器 / 骨盤臓器脱 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年技術革新の著しいクロスリアリティ技術を用いて女性泌尿器手術の新規トレーニング法の開発を目的としたものである。特に、盲目的手術であるTVM手術(経腟メッシュ手術)を主眼に置いて研究に着手した。しかしながら、研究開始直後の2019年4月16日に、メッシュ関連合併症を問題視していた米国FDAが経腟メッシュの販売停止を企業に命じたことから、急速かつ世界的に本手術が事実上試行不可能な状態となった。本邦では独自の経腟メッシュORIHIMEが現在も使用可能である。しかしながら、このような世界的情勢を受けて、本邦におけるORIHIMEを用いたTVM手術でさえも、経験豊富な一部の女性泌尿器科医、婦人科医がやることで、その継続を許容されているという風潮である。本研究の目指すところは、経験の少ない医師が効率よく修練できるためのトレーニング法を開発することであるため、本研究の成果が本邦および世界的に受け入れられないという可能性が極めて高いと予想される。そこで、女性泌尿器手術のうちTVM手術に替わる手術として普及が進んできた腹腔鏡下仙骨腟固定術LSCを主な研究対象に修正し、その新規トレーニング法の開発に着手した。LSCは腹腔鏡下縫合・結紮を多用する特異な手術である。そこで、まず腹腔鏡下での針把持について方法論を開発し、手技の普遍化を試みた。具体的にはreverseおよびflipと命名した針の制御操作を含めた手技の定形化(4-step loading)を行い、3Dモデルおよびその動画を作製し、評価可能な手技として具体化した。これらを学会、有識者セミナーおよび講演等で公開し、普遍的な手技として評価されたと考えている。今後は、この方法論、手技が経験の少ない医師の効率的な技術向上に貢献するかの臨床データをとるとともに、手の動きをモーションキャプチャで捉えることで数値化することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で記載のごとく、世界情勢の変化に伴って、本研究の研究対象の大幅な修正を必要としたため、進捗状況がやや遅れている。しかしながら、研究手法や目指すところに大きな改変は必要なく、臨床データを集めるための基盤も徐々に整ってきたため、今後は進捗が見込めると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象をTVM手術からLSCに変更するにあたって、実際に対象とする手技を、「TVMニードルの穿刺」から「腹腔鏡下縫合・結紮手技」に焦点を変える。しかしながら、前者はおよそ統一された手技ではあるが、後者は統一されておらず、術者毎にその手技は様々である。また、実臨床において体系化されているとも言えないため、手技を可視化する前に、その手技が普遍的なものとして受け入れられるかの調査を引き続き行う。続いて、手技の3Dモデルを作成し、VR空間に描出し、初学者にVRゴーグルを使用しながらのトレーニングを行ってもらい、トレーニングの効率化に貢献したか、あるいは手技そのものの有効性・汎用性等をアンケート調査で評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度内に購入予定であったモーションキャプチャが試算より高額(200万)であり、購入が不可能であった。そのため、次年度と合わせた助成金で購入を予定している。
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