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2019 年度 実施状況報告書

夜間多尿の新戦略:膀胱における知覚C線維を介した尿吸収を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 19K18607
研究機関福井大学

研究代表者

大江 秀樹  福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (70760510)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード夜間頻尿 / 抗コリン薬 / アクアポリン
研究実績の概要

抗コリン薬の種類によっては夜間尿量を減少させる可能性が報告されている(Urology 2013, 82: 515)。その検証として施行した基礎実験では、ラット利尿モデルに対し投与した抗コリン薬(imidafenacin (IM)、tolterodine (TO))が尿量を減少させることを確認した(BJUI 2013, 112: 131)。抗コリン薬が尿量を減少させる機序として、1)膀胱における尿の再吸収、2)腎での再吸収、について動物実験を行った。
1)ラット膀胱内に注入した生理食塩水は膀胱からの吸収が生じたが、吸収率は注入量の10%程度であり、抗コリン薬や各種薬剤を用いてもこの吸収率は一定であったことから、膀胱上皮を介する尿吸収メカニズムは存在するが抗コリン薬による尿吸収の促進は否定的であった。
2)ウレタン麻酔下にラットの両側尿管にカニュレーションを行い、経静脈的に生理食塩水を持続投与して利尿状態とした。2時間後に経静脈的に薬剤(vehicle (VE)、IM、atropine (AT)、TO)を投与し、1時間ごとに腎由来の尿量を測定した。
腎尿量は実験開始後3時間でピークが出現。IM投与群は濃度依存性に有意に尿産生のピークを抑制した。C線維を脱感作しても尿産生は抑制、AT、TO投与群でも尿産生のピークは抑制された。このことから腎を介して尿産生が抑制される可能性が示唆された。またその作用はC線維を介していないと考えられる。
抗コリン薬投与による腎における尿の再吸収促進にはラット腎集合管においてAQP2、ムスカリン受容体が関わっていると考えており、現在このメカニズム解明のために実験を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

腎尿量は実験開始後3時間でピークが出現したが、IM投与群では濃度依存性に尿量が減少し、その後4-9時間でなだらかなピークがみられた。Na濃度は、0.001mg/mlIM、0.1mg/mlAT投与では、投与前後を比較して尿中Na濃度が上昇したが、0.3ml/mlIM、0.1mg/mlIM、1mg/mlATでは尿中Na濃度は低下した。このことから低濃度の抗コリン薬では投与後に尿中Na濃度が上昇することにより、AQP2を介して水の再吸収が起こっている可能性がある。高濃度の抗コリン薬投与では、投与後に尿中Na濃度が低下することから水だけでなくNa再吸収も同時に起こっている可能性があると考えられる。
現在ラット腎のAQP2免疫組織染色を行い、集合管においてAQP2の染まりを確認できたため、抗コリン薬投与により集合管におけるAQP2局在の変化について検討している。

今後の研究の推進方策

採取したラット腎尿でAQP2定量分析を行う予定である。また免疫多重染色を用いてAQP2とムスカリン受容体3、4との関係を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度実験スケジュールが変更となったためまだ行えていない実験があり、器材購入が遅れたため。今後実験で使用する尿中AQP2のELISAキット、各種ムスカリン受容体抗体の購入等に充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ラット腎臓における抗コリン薬を介した尿再吸収に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      大江秀樹
    • 学会等名
      第26回排尿機能学会

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公開日: 2021-01-27  

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