研究実績の概要 |
3つの前立腺癌細胞株DU145, 22Rv1, LNCaPを用いてCRISPRスクリーニングを行った。各細胞株にCas9ヌクレアーゼ及びgRNAライブラリーを導入し、PARP阻害剤の1つであるOlaparib存在下で培養した。CRISPRスクリーニングにおいてOlaparib処理により有意に生存細胞が減少した遺伝子群のGene Ontology解析を行ったところ3種の細胞株いずれもDNA repairが最上位であり、DNA replicationやdouble-strand break repairがそれに続いた。この結果は、DNA修復に関連する遺伝子群の機能不全により、PARP阻害剤の感受性が増強することを示しており、スクリーニングが順当に行われていることが確認された。 続いて候補遺伝子の選定を行った。CRISPRスクリーニングにおいて複数の細胞株で共通してhitしていること、また、臨床応用に繋がりやすいという観点から、阻害剤が存在する、あるいは前立腺癌組織において一定頻度で機能不全が認められることを候補遺伝子抽出の条件とした。その結果、PARPと合成致死を示す遺伝子の候補を2つ、その機能不全がPARP阻害剤耐性の原因となる遺伝子の候補を1つ抽出した。 PARP阻害剤の効果予測因子となり得る遺伝子及びPARPと同時に阻害することで相乗効果を期待できる遺伝子の候補を同定した。今後、個別にノックアウトを行い検証する必要がある。
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