研究課題/領域番号 |
19K18611
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐久間 貴文 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70833797)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スツルバイト |
研究実績の概要 |
尿路結石はCommon diseaseであり、生活習慣病に関連して患者数は増加している。尿路感染症を原因とする尿路結石症を「感染結石」とよび、リン酸アンモニウムマグネシウム(struvite:スツルバイト)を主成分とする結石である。スツルバイトの形成メカニズムは、Proteus属やPseudomonas属の細菌がウレアーゼで尿素をアンモニアに分解し、アルカリ性となった尿中でスツルバイトが析出する、という機序である。感染結石の問題点は、結石による尿のうっ滞や感染症そのものによる生命の危機であり、手術によって除去しても容易に再発することも大きな臨床的課題である。本研究は、岡山大学泌尿器科で伝統的に行ってきた尿路感染症原因菌のバイオフィルム形成能を測定するフローサイト測定系をスツルバイト形成モデルの作成に応用することを目的とする。完成したモデルにより、感染結石の治療および再発予防に関する治療戦略を探索することが可能となり、基盤的な研究計画を立案することにつながると考えられる。 本年度の研究計画は、昨年度よりさらにフローセルシステムの応用と調整を行い、形成された結石がリン酸アンモニウムマグネシウム(struvite:スツルバイト)であることを証明した。さらに、当初のフローシステムの回路ではリン酸カルシウムの方が多く形成され、スツルバイトを安定して形成させるに至らなかった。その原因として、菌株の暴露後に無菌の人工尿を灌流するのではなく、回路中に組み込んだリザーバー内でプロテウス・ミラビリスが増殖できる環境を作成し、一定以上の菌量を含む人工尿を灌流できるよう回路を改良した。それにより、スツルバイトが安定的に形成される回路の作成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染対策のため、研究施設である岡山大学への通勤頻度が減少したことや、技術者との対面による連絡、ミーティングの頻度が減少したことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初のフローシステムの回路ではリン酸カルシウムの方が多く形成され、スツルバイトを安定して形成させるに至らなかった。その原因として、菌株の暴露後に無菌の人工尿を灌流するのではなく、回路中に組み込んだリザーバー内でプロテウス・ミラビリスが増殖できる環境を作成し、一定以上の菌量を含む人工尿を灌流できるよう回路を改良した。それにより、スツルバイトが安定的に形成される回路の作成に成功しており、今後はフローシステムのpH調整等のさらなるモデルの改良や、作成した結石のレーザー走査型顕微鏡での観察を行い、結石治療および再発予防に関する臨床的検討を行う予定である。また、結石成分分析や作成した結石のレーザー走査型顕微鏡での観察を行い、結石治療および再発予防に関する臨床的検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染対策のため、研究施設である岡山大学への通勤頻度が減少したことや、技術者との連絡頻度が減少した。それにより当初の実験プランを予定通りこなすことができず、消耗品や施設使用料を使った実験も完遂できなかった。また、コロナ禍によって国内・海外出張がなくなったことも一因として挙げられる。次年度は、研究をできるだけ進め、結果をまとめて論文化にまでこぎつけたい。
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