研究実績の概要 |
尿路結石はCommon diseaseであり、生活習慣病に関連して患者数は増加している。尿路感染症を原因とする尿路結石症を「感染結石」とよび、リン酸アンモニウムマグネシウム(struvite:スツルバイト)を主成分とする結石である。スツルバイトの形成メカニズムは、Proteus属やPseudomonas属の細菌がウレアーゼで尿素をアンモニアに分解し、アルカリ性となった尿中でスツルバイトが析出する、という機序である1)。感染結石の問題点は、結石による尿のうっ滞や感染症そのものによる生命の危機であり、手術によって除去しても容易に再発することも大きな臨床的課題である。本研究は、バイオフィルム生成をモニタリングするフローセルシステムを応用し、スツルバイト生成モデルを作成することを目的とする。完成したモデルにより、感染結石の治療および再発予防に関する治療戦略を探索することが可能となり、基盤的な研究計画を立案することにつながると考えられる。 本年度の研究計画は、これまでの研究の改善を行い、リン酸カルシウムの方が多く形成され、スツルバイトを安定して形成させることに成功した。プロテウス・ミラビリスだけでなく、そのほかの菌種(Escherichia coli, Morganella morganii, Phuedomonas aureginosa等)を多重感染させそれぞれの菌が増殖できる環境を作成した。それにより、より臨床に近い環境で感染結石を産生することに成功した。
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