研究課題/領域番号 |
19K18612
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大豆本 圭 徳島大学, 病院, 特任助教 (10745516)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DDX31 / EGFR / 多段階進展 / TP53 / 尿路上皮癌 / 膀胱癌 |
研究実績の概要 |
尿路上皮癌の多段階進展機構においてDDX31は重要な因子であることがわかっている。 DDX31は核から細胞質へ移行し細胞膜直下でEGFR-NCL-DDX31の複合体を作り癌進展を促進することを示している。すでに作成しているDDX31 peptideはDDX31高発現癌に対して抗腫瘍効果が期待される。2019年度の研究実績はPreclinical modelでのDDX31 peptideの抗腫瘍効果の検証である。申請者はすでに患者組織由来のPatient derived Xenograft (PDX) modelの樹立方法を確立しており、2019年度は尿路上皮癌のPDXモデルを多数作成した。作成し安定樹立できたモデルの腫瘍からタンパクを抽出しDDX31の発現をウエスタンブロット法で確認した。2モデルでDDX31高発現を確認した。1モデルを用いて遺伝子変異解析を行ったところ、TP53のミスセンス変異、EGFR高発現をみとめた。PDXモデルを用いてコントロール群とDDX31 peptideを5匹ずつに振り分け、腹腔内投与を施行した。DDX31 peptide群は有意差をもって抗腫瘍効果を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で、実験計画の「尿路上皮癌の多段階進展機構の先進的病態解明と革新的治療開発」の革新的治療開発の項目でPreclinical modelでのDDX31peptideの抗腫瘍効果が示唆された。HE染色による腫瘍の病理学的な評価ではコントロール群は充実性の癌細胞癌充満しているのに対して、DDX31peptide群では腫瘍細胞は疎となっており、壊死所見を認めた。 これらの成果は2020年日本癌学会学術集会で発表する予定であり、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
尿路上皮癌の多段階進展機構におけるDDX31の経時的な変化を確認するために、尿路上皮癌発癌モデルの1つであるN-butyl-N-(4-hydroxybutyl)-nitrosamine (BBN)による発癌モデルに着目している。BBNモデルでは上皮内癌から浸潤性膀胱癌と多段階に発癌すること、ヒトの尿路上皮癌と同様にp53変異はDNA binding domain (DBD)におけるミスセンス変異であることが報告されている(Oncogene volume 37, pages1911―1925(2018))。 またDDX31の生理的な機能を理解するためにDDX31のノックアウトマウスを作成する方針である。DDX31 ノックアウトマウスを作成し、重要なキーファクターであるDDX31が発現しない状態でBBN投与による発がんの経過の違いを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に納品となり4月支払いのため、次年度使用額が生じたが4月に支払い完了する予定である。
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