研究実績の概要 |
GOX投与により結石を形成させたMetsモデルマウスに対して、OPN抗体を投与した腎組織における結石関連因子の評価から、細胞内における微小構造観察のために投下型電子顕微鏡を用いて観察したところ、OPN抗体500μg投与マウスでは、他の群と比べて細胞内のオルガネラ障害が少なく、細胞内に2重膜構造をもつオートファゴソームが観察されたことから、抗体の投与により細胞内の恒常性を維持するオートファジーが活性化された可能性が示唆された。一方で他の群では、結晶核の元と考えられる傷害ミトコンドリアやリソソームが多数観察され、オートファジーが低下している可能性が示唆された。以上のことからオステオポンチン抗体にはオートファジー活性を介した結石抑制効果がある可能性がわかった。つぎに、オステオポンチンと細胞内の保護作用を持つオートファジーとの関わりを解明していくために、オートファジー関連タンパクのWestern blotや上流因子の検討をおこなった。さらには、尿細管培養細胞に対して抗体と、シュウ酸カルシウム結晶の暴露を行い、結晶の付着量、炎症反応などを検討した。GOX投与とともに mTOR発現は上昇する一方で、TFEBの発現は低下した。TFEBのターゲットとなるlamp1,uvragの発現をqPCRで確認したところ、TFEBの発現低下を反映して同様に発現が低下することがわかった。また、オートファジーで発現が低下するリン酸化p62の発現は、オートファジーの発現低下を反映して上昇していた。これらの結果は、in vitroで結晶の添加による反応と同じであった。
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