研究課題/領域番号 |
19K18622
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
河野 春奈 順天堂大学, 医学部, 特任准教授 (90445528)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ADPKD / TSC / 遺伝子検査 / 隣接遺伝子症候群 |
研究実績の概要 |
本研究は、遺伝性腎疾患である常染色体優性多発性嚢胞腎と結節性硬化症について、遺伝子検査を行い、臨床情報と照らし合わせ、その病態や治療薬の効果を解析していくものである。 2019年度は、患者血液検体からの遺伝子解析を中心に行った。これまで約300名の患者から研究参加の同意を取得した。順次血液を採取、遺伝子解析を行っている。解析が終わったもののうち、これまで報告がある典型的な遺伝子変異を持つ者の他に、臨床診断上では多発性嚢胞腎であるものの、遺伝子診断では他の嚢胞性腎疾患であると判明したケースが散見された。これは、現在本邦の多発性嚢胞腎の診断基準には遺伝子検査の項目はないが、特に孤発例や非典型例においては、積極的に遺伝子検査を検討する必要が示唆される。また、これまで報告のない変異も見つかり、これらは今後さらなる解析、検討を行い報告の予定である。 多発性嚢胞腎と結節性硬化症の原因遺伝子は隣り合っており、大きな遺伝子の欠失がこの遺伝子間にあると、臨床遺伝子症候群を呈する。臨床上この隣接遺伝子症候群と考えられる患者5名4家系の遺伝子解析が現在進行中である。MLPA解析でも確認を行い、臨床情報と照らし合わせ、早期の論文での報告を目指している。 各々の疾患の治療薬であるトルバプタン、エベロリムスでの治療を行っている患者を抽出し、遺伝子変異部位、型と治療効果についての解析のため、現在臨床情報の収集、入力を行っている。また、同一家系内での病状の違いと遺伝子変異の関係を解析するため、家系ごとの抽出も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年内は順調に研究が進行してきた。2020年に入り、新型コロナウイルス感染症流行に伴い患者の病院への受診を控え、受診延期が起きたことから、遺伝子検査のための採血採取が延期となっているものの、その間にすでに採取した検体の解析を進めることで、研究の進行に影響がないようにしている。
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今後の研究の推進方策 |
研究参加へのリクルートは引き続き行い、早めの全参加者からの検体採取、遺伝子解析を目指す。また、遺伝子解析結果と臨床情報を照らし合わせ、統計学的に解析していく段階に入る。統計学的解析においては、様々な交絡因子を検討する必要があり、統計専門家に協力を仰ぎ、検討を進めていく。研究実績の概要で述べた隣接遺伝子症候群については、本年度中の論文報告を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年に1月下旬からの新型コロナウイルス感染症流行に伴い、患者の病院への受診を控え、受診延期が起き、2019年度内に予定していた検体採取が延期され、解析にかかる試薬代が予定よりも低くなったため。延期となった検体採取は2020年度に行うため、残額を次年度に使用する。
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