本研究は、日本人のADPKD,TSCを対象とした遺伝子解析の研究として最も大規模なものである。ADPKDにおいては、典型的な経過をたどらない症例の中に、異なる遺伝子変異を持つ症例があることや、従来指摘されていた遺伝子変異型の割合が異なる可能性が示唆された。このことはADPKDの臨床において非常に重要で、遺伝子検査の必要性を強く後押しする結果となった。またTSCにおいては、特にPKDとの隣接遺伝子症候群において、これまでの報告と異なりTSC症状が優位であった。このことから、TSCの腎嚢胞が多い症例の中に、隣接遺伝子症候群を見落とされているケースがあると示唆された。
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