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2020 年度 実施状況報告書

精子エピゲノム多様性にもとづいた子孫の疾患素因の分画

研究課題

研究課題/領域番号 19K18627
研究機関京都大学

研究代表者

木村 龍一  京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00781759)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード精子低メチル化 / 脱メチル化薬剤
研究実績の概要

これまでのマウスを用いた検討により、父親の加齢による子孫の表現型変化は加齢に伴う精子のDNA低メチル化に起因する可能性が見出されている。そこで本年度はDNA脱メチル化薬剤によりマウス精子でDNA低メチル化が誘導されるか、さらに同薬剤を投与された雄マウスに由来する子孫に表現型変化が生じるかについて検討を行った。まず薬剤投与量の検討を行ったところ、投与量が多すぎるとマウス体重に影響はない一方で、生殖能が顕著に阻害されることが明らかとなった。そこで、生殖能を保ちつつ精子DNA低メチル化を誘導することのできる投与量を検討した。次に、精子DNAメチル化レベルを調べるために脱凝集した精子を用いて免疫細胞染色を行い、脱メチル化DNAの指標である5hmCの蛍光強度を測定した。その結果、DNA脱メチル化薬剤を投与された雄マウスの精子は対照群と比較して優位に5hmC蛍光強度が強く、同薬剤投与により精子の低メチル化が誘導されることが明らかとなった。さらに、DNA脱メチル化薬剤を投与された雄マウスから子孫マウスを作出し、それらの行動学的な表現型を解析した。本研究では生後6日目の子孫マウスを母子分離した際に発せられる超音波発声を測定し、コール数や音節パターンなどを解析した。その結果、DNA脱メチル化薬剤を投与された雄マウスに由来する子孫マウスは高齢の雄マウスに由来する子孫マウスと同様の表現型変化を示すことが明らかとなり、雄マウスへの脱メチル化薬剤の投与が、加齢による精子のエピゲノム変化および子孫への影響の一部を模倣すると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

雄マウスへの脱メチル化薬剤の投与が、加齢による精子のエピゲノム変化および子孫への影響の一部を模倣することを見出すことができた。

今後の研究の推進方策

雄マウスへの脱メチル化薬剤の投与がどの程度加齢による精子エピゲノム変化を模倣しているのかバイサルファイト解析等による詳細な解析を行う。また、画像解析を用いて脱メチル化薬剤の投与が精子形成および精子のエピゲノム多様性にどのような影響を及ぼすか解析する。

次年度使用額が生じた理由

雄へのDNA脱メチル化薬剤投与により高齢による精子エピゲノム変化の一部を模倣することができるという知見を得ることができたため、どの程度模倣できているか検討を行う必要がある。そこで、今年度予定していたエピゲノムプローブのスクリーニングを取りやめ、精子DNAのバイサルファイト解析などを行った。差額分の助成金は次年度引き続き精子のエピゲノム解析を継続するために必要な試薬を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Paternal age affects offspring via an epigenetic mechanism involving REST/NRSF2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshizaki Kaichi、Kimura Ryuichi、Kobayashi Hisato、Oki Shinya、Kikkawa Takako、Mai Lingling、Koike Kohei、Mochizuki Kentaro、Inada Hitoshi、Matsui Yasuhisa、Kono Tomohiro、Osumi Noriko
    • 雑誌名

      EMBO reports

      巻: 22 ページ: -

    • DOI

      10.15252/embr.202051524

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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