研究課題
卵巣のMdm2欠損マウス(Mdm2 cKO)は排卵障害による不妊となり、Mdm2/p53の2重欠損マウス(Mdm2/p53 cDKO)では正常な排卵の表現型を示すこと、Mdm2欠損マウスでは、卵子成熟の過程である卵丘膨化と卵子成熟の指標である卵核胞崩壊が障害されていた。マウス卵丘顆粒膜細胞を用いたマイクロアレイと定量的PCRの結果から、卵巣のMdm2欠損マウスの卵丘顆粒膜細胞で低下し、p53/Mdm2 の2重欠損マウスの卵丘顆粒膜細胞では低下を認めない遺伝子としてSF1(Nr5a1)を見出し、ChIPアッセイにてそのプロモーター領域にp53が結合することを確認した。卵巣におけるMdm2欠損によるp53の増加は卵子成熟を障害すること、p53の転写調節因子としてSF1が機能している可能性が示唆された。卵巣のコンディショナルノックアウトマウスを用いた解析で、p53増加を介した卵子成熟の過程の異常および不妊との関連が明らかとなり、p53のターゲット因子の抽出まで成功しており、予想以上に研究が進展した。今後は細胞株を用いたメカニズム解析、ヒト検体を用いた解析を進め、ヒト不妊とMdm2、p53、SF1との関連性を明らかにする方針である。
1: 当初の計画以上に進展している
卵巣のコンディショナルノックアウトマウスを用いた解析で、p53増加を介した卵子成熟の過程の異常および不妊との関連が明らかとなり、p53のターゲット因子の抽出まで成功しており、予想以上に研究が進展した。
細胞株を用いたメカニズム解析、ヒト検体を用いた解析を進め、ヒト不妊とMdm2、p53、SF1との関連性を明らかにする方針である。
Mdm2欠損マウスの繁殖において、当初の想定に反し実験に必要な成体数を得られず研究が3か月遅延した。そのため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、繁殖期間延長に伴うマウスの管理費とその解析を行うための試薬・消耗品の購入費にあてる。当該年度に遅延した内容の研究は次年度に行い、合わせて当初から次年度に行う予定であった研究を次年度内に完了するように研究を推進する予定である。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件)
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