研究課題
若手研究
本研究では、新たな流産予防薬の候補となり得る新規補体第二経路抑制因子CTRP6について、その機能や妊娠への影響を調べた。CTRP6は非妊娠期の子宮にも発現しており、妊娠に伴ってその発現が増加することが分かった。遺伝子レベルでは胎児由来細胞での発現が高く、タンパクレベルでは母体由来のCTRP6も機能していた。その役割は必須ではないが、血管新生に関与しており、胎児発育遅延の抑制する可能性が示された。
生殖生物学
本研究で自然流産モデルマウスにCTRP6を投与したところ、流産率の減少傾向と胎児体重の増加が認められた。子宮内胎児発育遅延は胎児の周産期死亡率が高いだけでなく、低体重出生児の生活習慣病発症リスクが高いことからも注目されている。また、CTRP6は多くの哺乳類で保存されている補体抑制因子である。ヒトにおける流産や胎児発育遅延の予防だけでなく、家畜動物の繁殖効率の上昇にも役立つ可能性がある。