| 研究課題/領域番号 |
19K18650
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| 研究機関 | 自治医科大学 |
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研究代表者 |
高橋 宏典 自治医科大学, 医学部, 教授 (80544303)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 絨毛外栄養膜 |
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| 研究実績の概要 |
1.妊娠初期血液検体採取：妊娠初期(妊娠10-14週）妊婦から同意取得し、2022年3月末日までで血液検体を1150例集積した。2.分娩転帰解析：妊娠初期血液検体を採取した1150例の分娩転帰を解析した。診療録から分娩転帰が判明し、詳細な情報を回収できたのは880例。うち単胎に限定するとHDP78症例、遅発型（34週以降に分娩）妊娠高血圧腎症は71例、早発型（34週未満に分娩）妊娠高血圧腎症妊娠は7例にみられた。また、早産に関しては妊娠28週未満の超早産が3例、妊娠28週以降32週未満の早産4例、妊娠32週以降36週未満の早産26例、妊娠糖尿病は157例がそれぞれみられた。3. 妊娠高血圧症候群においてS100A9 変化が病態形成の一因と考え、実際にS100A9 発現は同症候群患者の血漿中と胎盤中とでともに増加した。S100A9は胎盤組織および絨毛細胞において、NLRP3インフラマソームを活性化させ、IL-1β分泌が増加した。4．ケトン体の一つβ-hydroxybutyrate（BHB）は、NLRP3インフラマソームの活性化を抑制し、様々な炎症性疾患を改善するため、BHBが胎盤においても炎症を抑えた結果、妊娠高血圧症候群や早産を食い止める作用があると仮説をたてた。ヒト胎盤絨毛培養において、BHBを添加するとIL-1β、IL-6、IL-8の炎症性サイトカインが抑制され、また、BHB投与により炎症惹起物質リポポリサッカライド刺激によって増加したIL-1β分泌と成熟型IL-1β蛋白発現が共に低下した。ヒト絨毛細胞株では、BHBが活性化カスパーゼ-1発現を低下させ、続いてIL-1β分泌が抑制されることが分かった。5. 妊娠糖尿病の予知因子研究において血清中サイトカインをターゲットにし、IL-1βが含まれるサイトカインアレイキットを購入した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍で度々、実験の一時的な中断を要求された。さらに、県内における妊産婦コロナウイルス感染診療の調整役を拝命したために臨床が多忙で研究に時間を費やせなかった。結果的に予定していた実験が行えず、予算も使用できなかったため、1年延期とした。今年度はコロナ診療が落ち着いてきたため、予定した実験を遂行すべく、研究を開始している。また、妊娠初期の疾患予知研究は検体集積は概ね順調に行えたが、簡便に測定するための方法が定まらず、特にデジタルPCRによる解析で、安定的な結果が得られず、条件検討を繰り返し行ったことが遅れの一因である。
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| 今後の研究の推進方策 |
前向きコホート研究を、症例対照研究として検討症例数を限定し、比較検討することを考慮している。大幅な時間短縮がはかれる。中心となるmicroRNA(miRNA)の測定方法について、デジタルPCRを用い内部コントロールを使用しない方法と 線虫特異的なmiRNAを外部から挿入し、内部コントロールをとる方法、2つを考えて、並行して進めているが、可能であればより簡便なデジタルPCRでの検討を考慮する。細胞株の実験においては広く認められているHTR8/SVneoだけに限定し、in vitro実験を施行する。エクソソームの研究は回収があまりにも煩雑なため、実施しない。人的には当科の大学院生が1人入学したため、教育しながら共同して実験を行う。学会については胎盤学会、生殖免疫学会、The 14th Philadelphia Prenatal Diagnosis: Ultrasound/Fetal ECHO, MFM/OB Virtual Conference に参加を予定している。また、胎盤学会または生殖免疫学会のどちらかには当該研究に関連した演題を提出予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
県内の妊産婦コロナウイルス統括役（入院調整、方針決定）を拝命したこともあり、思うように実験が進められなかったため。次年度は実験における消耗品（メディウム、保存容器、PCRプライマー、ピペットなど）に予算を利用する。中でもmicroRNAに関するプライマーは１つ１つが安価ではないので多くを費やす。また状況によっては網羅的解析が必要で、このためのアレイパネル購入等に予算を利用する。さらに統計解析のためのソフトウェアを購入する。学会参加に関して日本胎盤学会、日本生殖免疫学会、The 14th Philadelphia Prenatal Diagnosis: Ultrasound/Fetal ECHO, MFM/OB Virtual Conferenceに参加を予定している。その他、英文翻訳、英文校正に予算を使用する計画を立てている。
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