研究課題
卵巣漿液性癌における包括的なmRNA-miRNAネットワークを明らかにするため、まず卵巣漿液性癌5検体と正常卵巣2検体を用いて全トランスクリプトーム解析(mRNAseq)および全小分子RNA解析(miRNAseq)を行った。その結果20-23塩基長のmiRNAは卵巣癌と正常卵巣の間で発現パターンが明らかに異なっていた。小分子RNAが作用している可能性のあるmRNAを相補的配列と発現から統合的に解析を行うことにより、卵巣癌に特異的な10個のmiRNA-mRNAネットワーク、5個のpiRNA-mRNAネットワークを同定した。その中でhsa-miR-497-5p-SMARCA4のネットワークに注目した。SMARCA4のノックダウンを行った卵巣癌細胞株(OVSAHO、KURAMOCHI)はコントロールに比較して有意に細胞増殖が抑制された。miR-497 mimic投与では卵巣癌細胞株の増殖は抑制され、miR-497 inhibitor投与では卵巣癌細胞株の増殖は亢進した。このネットワークについて臨床検体を用いた解析およびin vitroでの機能解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
同定したネットワークについて卵巣癌臨床検体および細胞株を用いた解析を進めており、SMARCA4の発現抑制卵巣癌細胞株を用いたトランスクリプトーム解析によりSMARCA4の新たな標的遺伝子を明らかにした。SMARCA4の卵巣癌を使用した免疫組織化学染色も終了し、現在解析中である。
hsa-miR-497-5p-SMARCA4ネットワークの卵巣癌における機能解析をすすめていく。同定したSMARCA4の標的分子について、SMARCA4による卵巣癌促進にどのように関与するか解析をすすめていく。卵巣癌細胞株を用いたin vivo実験で妥当性を検証する。
2019年度にマウスを用いたin vivo実験を開始する予定であったが、マウスを用いたin vivo実験を2020年度に行う予定に変更したため未使用額が生じた。このため、in vivo実験を2020年度に開始および終了する予定とし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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