研究課題
同定したmiR-497-5p-SMARCA4の卵巣漿液性癌における意義について研究を進めた。TCGA解析ではSMARCA4増幅はBRCA1変異、BRCA2変異と排他的でありCCNE1増幅とは一部共通していた。PTEN変異、EMSY変異、BRIP1変異ともSMARCA4増幅は排他的であり、SMARCA4増幅はhomologous recombination proficientのサブグループと考えられた。卵巣漿液性癌78例を用いて免疫組織化学染色を行い、SMARCA4の発現が高いほど全生存率(overall survival)が低い(p<0.05)ことが明らかとなった。卵巣癌細胞株(OVSAHO)のSMARCA4ノックダウン株による3次元でオルガノイド培養ではノックダウン株は増殖がやや遅くなり、細胞周期の解析においてはSMARCA4ノックダウン株はG1期が延長し、G2M期の短縮が認められた。しかしながら大きな変化は認めなかった。SMARCA4の強制発現株を用いてSMARCA4が増殖能、遊走能に与える影響をみたところ、明らかな変化は認めなかった。Small cell carcinoma of the ovary hypercalcemic typeの症例をがん遺伝子パネル検査したところSMARCA4変異を認めたが、他に明らかながん関連遺伝子変化を認めなかった。SMARCA4変異、増幅はエピゲノムの変化を来たし癌化に寄与すると考えられるが、単純な増殖能、遊走能などの変化ではなく、癌の幹細胞性などさらなる研究が必要である。
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