研究課題/領域番号 |
19K18653
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
徳中 真由美 昭和大学, 医学部, 講師 (10643710)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧腎症 / アスピリン |
研究実績の概要 |
妊娠初期に妊娠高血圧腎症発症ハイリスク妊婦を抽出し低用量アスピリンを投与し発症予防するとの研究成果が欧州の多施設共同研究で示されたがアジア・日本人では十分検討されていない。そこでスクリーニング法とアスピリンによる予防効果をアジア人で確認する国際的共同研究を立ち上げた。この国際的共同研究では、妊娠高血圧腎症のハイリスク妊婦をRCTでアスピリン150㎎服用群と非服用群に分け、服用群では16週以前からアスピリンの服用を開始する。この試験は、日本、香港、シンガポール、中国、タイ、マレーシア、ベトナムのアジア版の総症例数10000人の規模で行う多施設臨床研究であり、RCTは全体を7グループに分けて、アスピリン非服用から開始し、時期をずらしてアスピリン服用としていく方式を採用している。 その上で我々は妊娠11-13週に採血した検体を用い、マルチプレックスシステムを用いた網羅的な血清中蛋白発現の定量的解析、および母体血漿中cell-free RNA濃度の定量的解析を行い、ハイリスク妊婦を抽出するためのより感度の良いバイオマーカーの抽出を行う。アスピリン服用開始後の血液サンプルのタンパク発現やcell-free DNA/RNAを解析することで、効果発現の分子メカニズムの解明を行い、アスピリンの治療効果を妊娠中期に予測するバイオマーカーを探索し、アスピリンの妊娠高血圧腎症予防投与の臨床的な有用性を明らかにしていくことを目的としている。
昭和大学はこの国際的共同研究の中で約1000例を担うことになっている。2020年10月から当院での症例登録を開始し、2020/04/03の段階で245例の症例がアスピリン非服用群として当院から登録している。今後2020年夏ごろを目安にアスピリン内服群の症例登録が開始される予定であり、アスピリン内服群と非内服群の比較のための症例が登録されていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際共同研究での症例登録のためアスピリン内服介入の時期を当院では決定できないこともありアスピリン内服群の症例登録はまだ開始できていない。ただしアスピリン非内服群の当院での症例登録は予想された程度の数が集まっている。2020年6-8月頃にはアスピリン内服群の症例登録も開始できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
国際共同研究での症例登録として、2020年6-8月頃にはアスピリン内服群の症例登録も開始できる見通しである。アスピリン内服症例がある程度集まってから解析を開始する予定としている。本年度後半にはマルチプレックスシステムを用いた網羅的な血清中蛋白発現の定量的解析、および母体血漿中cell-free RNA濃度の定量的解析解析が開始できると考えている。ただし、他国では2020年2月頃より新型コロナウイルスの影響で症例登録の数が予定よりも遅くなってきており、当院での症例登録にも影響を及ぼす可能性を考慮しなければならない。その場合、解析開始が2021年度にずれ込む可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
アスピリン非内服患者の登録は開始しているがアスピリン内服患者の登録が今後開始するところである。今後もアスピリン内服ならびに非内服の多くの症例を登録し、解析していく予定である。
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