ケトン体は脂肪の分解により生成され、グルコースと並び主要な栄養源である。近年、一般成人における糖質制限食(ケトン産生食)に関連して研究が進み、ケトン体が神経保護作用や抑うつという効果を持つことが明らかにされた。しかし、妊娠中の糖質制限食が母体や胎児の発育へ与える影響について危険性も示唆されているが、基本的な臨床データが十分でないのが現状である。本研究では、母体の血中ケトン体濃度と新生児の体形、並びに産後うつ病との関係を調べたが、関係性を見出すことはできなかった。しかし、妊娠初期に比べ後期の方が血中ケトン体濃度は高いことが明らかとなり、やはり母児に何らかのメリットを及ぼしていることが示唆された。
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