研究課題
1.研究開始当初の背景:現在の妊婦栄養管理は妊婦一律であるため、栄養の過少や過多を招き、糖代謝異常妊婦の重篤な周産期合併症を抑制できていない。2.研究の目的:間接熱量測定、体組成計を用いて、糖代謝異常・正常妊婦の安静時代謝量を実測して解明すると共に、患者個人の代謝量を基にしたテーラーメイド栄養管理を開発することを目的とした。3.研究の方法:わが国初の妊産婦代謝量データベースPREMEを創始し、正常妊婦300例、糖代謝異常妊婦100例にまでデータの蓄積を進めた。4.研究成果:正常妊婦では妊娠初期から中期にかけて安静時代謝量は変化せず、後期に増加し、産後に元に戻るのに対して、糖代謝異常妊婦では、治療介入により後期の増加が抑制され一定の推移を示した。また糖代謝異常妊婦では、安静時代謝量が多いほど周産期合併症の頻度が高いことを発見した。血糖コントロールが不良であるほど安静時代謝量は高値であった。母体除脂肪量と出生児体重は正の相関を示し、巨大児予測の一助となる可能性が示唆された。5.研究成果の学術的意義や社会的意義:糖代謝正常妊婦では、妊娠前期、中期、後期にエネルギー付加量を増加させる栄養指導が従来の指針などで示されているが、本研究結果からは、後期のみに付加量を増加させる栄養管理が妥当と考えられた。糖代謝異常妊婦では、適切な血糖コントロールとともに、妊娠産褥期間を通して一律の栄養指導が妥当と考えられた。周産期合併症を抑制するには、適切なエネルギー管理が極めて有用であることを示す重要な結果である。エビデンスに基づく合理的な実用栄養管理を創ることで、安心安全な周産期医療に貢献する成果である。
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