研究実績の概要 |
進行婦人科癌の予後は不良であり,新規治療戦略が求められている.現在,複数の分子標的薬が新規治療薬として臨床治験が行われているが,有効な症例を絞り込むための治療予測・薬剤選択バイオマーカーが求められている.候補として,腫瘍組織の遺伝子変異数の指標であるTumor Mutation Burden (TMB)が報告されているが,進行/再発症例で組織採取が困難な症例では解析できない.近年では, 肺癌において,TMBをLiquid Biopsyで検出する, “Blood Tumor Mutation Burden (bTMB) ”の免疫療法の効果予測マーカーとして世界的に注目を集めているが, 婦人科癌においてはLiquid Biopsyを用いた血液中の“bTMB”解析に関する報告はない.申請者らは以前より婦人科癌における超高感度次世代シーケンサー法であるCAPP-seq (cancer personalized profiling by deep sequencing) を用いたLiquid biopsy 研究を開始している. 婦人科癌16症例におけるLiquid biopsyの有用性(Noguchi, Iwahashi et al, Cancers (Basel),2020/Iwahashi, Noguchi et al, Sci Rep, 2019)や進行卵巣癌の術前化学療法(NAC)症例におけるNAC前後でLiquid biopsyによるモニタリングが可能であった(Noguchi et al, Oncol Lett, 2020) また、大腸癌の卵巣転移の Liquid biopsyから大腸癌パターンの遺伝子変異を検出し,腫瘍組織の解析結果と一致していた (Iwahashi, Noguchi et al, Oncol Lett, 2018).今回, 婦人科癌の治療における新規血液バイオマーカーとしてのbTMBの有用性について検討する.
|