研究課題/領域番号 |
19K18679
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
田丸 俊輔 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10647077)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 子宮内膜間質細胞 / 脱落膜化 / β酸化 |
研究実績の概要 |
研究参加に同意の得られた対象例の手術で得られた子宮検体から、子宮内膜間質細胞を分離・培養した。培養した子宮内膜間質細胞に8-bro-cAMPとMPAを用いて脱落膜化刺激を行い、脱落膜化分化をさせた細胞(脱落膜化群)と、脱落膜化していない細胞(コントロール群)を作成し、各実験系で両群間の相違を比較検討した。 上記条件下で、RI標識したパルミチン酸を指標として、ミトコンドリアの脂肪酸β酸化活性を評価したところ、脱落膜化群では脂肪酸β酸化活性が上昇した。一方で、脂肪酸β酸化の基質であるアシルCoAの、ミトコンドリアへの取り込みを制御するCPT1の発現は低下した。蛍光および電子顕微鏡による細胞形態の観察実験では、脱落膜化群で、ミトコンドリア数の増加とともに、細胞質の脂肪滴増加を認めた。 以上より、脱落膜化子宮内膜間質細胞では、脂肪酸β酸化の調節によりミトコンドリアを含めて、細胞の形態変化が生じていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の初めは、所属機関のIRBに研究計画を申請し承認を得る手続きを必要としたため、計画の承認を得て対象のリクルートを開始するまでに時間を要した。また、対象例のリクルートにあたっても、適切な対象例の手術数が当初の計画より少なかったため、実験開始までに時間を要し、結果的に課題の進捗状況はやや遅れる形となった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降の研究推進のための環境整備は、2019年度に完了できたと考えている。しかし、今年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、婦人科領域において待機手術がさらに減少しており、研究実施に必要不可欠な子宮内膜組織の手術検体採取が困難な状況である。したがって、現時点ではどの程度計画通りに研究を進めることができるかを予測することは難しい。今後、社会情勢の変化により、対象例のリクルート数を増加させることができれば、現在の研究組織とそれぞれのエフォートで目的とする研究の達成が可能と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりは研究実施がやや遅れているが、研究推進のための環境整備は、ほぼ昨年度で完了できたと考えている。したがって、今年度は現在の研究組織と、それぞれのエフォートで目的とする研究の達成が可能であり、今年度使用額は研究開始前の計画を上回ると予測している。
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