研究課題
我々は前年度の検討結果よりp53の活性化に伴って上昇するDDIT4タンパクの機能解析に進むこととしていた。p53の活性化はその上流として低酸素ストレスが影響していることが知られており、そのマスターレギュレーターの一つとしてDDIT4という分子が報告されている。複数の癌種において低酸素ストレス反応性にDDIT4が上昇し、悪性形質を増強することが知られておりこれにp53の変異の有無がどのように影響を与えているか検討することとした。DDIT4の発現抑制を得るためにsiRNAをValidationした。また、DDIT4の発現抑制により増殖抑制効果やシスプラチン抵抗性が変化する。また、DDIT4の機能実験として、遊走能・浸潤能にも影響を与えることを確認している。臨床組織検体における発現解析として子宮頸癌臨床組織検体を用いてDDIT4の発現比較を行い、リンパ管侵襲やリンパ節転移といった悪性予後と相関する臨床病理学的因子と有意な相関関係を見出した。また、悪性形質に関与し得る既知のパスウェイとしてNFκBパスウェイとの相関を同定した。最終的にはshRNAを用いてDDIT4発現を抑制した細胞株をヌードマウス腹腔内に投与して転移能が抑制されることも確認できた。ここまでを研究成果として論文投稿中である。p53変異を伴う卵巣高異型度漿液性癌におけるプラチナ製剤耐性化を予め同定できるバイオマーカーとして、組織内プラチナ分布を正確に同定したパターンを用いることができるかどうかLA-ICP-MSを用いて検討した。ネオアジュバント療法としてプラチナ製剤を含む化学療法を受けた後に手術を実施した27例において、卵巣病変の組織内プラチナ分布を解析した結果、プラチナが周辺のみに存在する群と均一に存在する群があり、その後の予後やプラチナ製剤への感受性の差を峻別するのに有用であることが判明した。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (26件)
Scientific Reports
巻: 12 ページ: -
10.1038/s41598-022-08503-7
BMC Women's Health
巻: 22 ページ: -
10.1186/s12905-022-01642-z
Journal of Gynecologic Oncology
巻: 33 ページ: -
10.3802/jgo.2022.33.e40
Matrix Biology
巻: 109 ページ: 70~90
10.1016/j.matbio.2022.03.003
Anticancer Research
巻: 41 ページ: 249~258
10.21873/anticanres.14771
Oncogene
巻: 40 ページ: 1255~1268
10.1038/s41388-020-01595-3
Cancers
巻: 13 ページ: 1141~1141
10.3390/cancers13051141
Current Oncology
巻: 28 ページ: 1663~1672
10.3390/curroncol28030155
Cancer Cell International
巻: 21 ページ: -
10.1186/s12935-021-02014-7
巻: 11 ページ: -
10.1038/s41598-021-93718-3
International Journal of Gynecology & Obstetrics
巻: 157 ページ: 437~443
10.1002/ijgo.13844
Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
巻: 47 ページ: 4101~4105
10.1111/jog.15001
International Journal of Clinical Oncology
巻: 27 ページ: 609~618
10.1007/s10147-021-02075-8
European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology
巻: 267 ページ: 221~225
10.1016/j.ejogrb.2021.11.015
10.1038/s41598-021-02635-y