研究課題/領域番号 |
19K18694
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
真木 晋太郎 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90794371)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | PDE5阻害薬 / タダラフィル / 超音波ドプラ / angiogenic factor / 子宮動脈血流量 |
研究実績の概要 |
本研究では胎児発育不全(Fetal Growth Restriction: FGR)およびHDP(Hypetensive Disorders of pregnancy)における、胎児胎盤循環の改善を目的としたホスホジエステラーゼ5阻害薬であるタダラフィルの投与による効果発現機序の解明を目標としている。 ①angiogenic factorの動態②超音波ドプラ法による子宮動脈の血流量変化 以上による評価を目的としているが、現在の実績は超音波ドプラによる血行動態の評価が行われたことが第一に挙げられる。内服前後のドプラ所見の変化をFGRタダラフィル内服群25症例、従来型治療を行った群26症例を検討したところ、妊娠32週未満の臍帯動脈pulsatility indexが投与1週間後で、減少した症例が有意に多いことが分かった(p=0.005)。また中大脳動脈では有意差はないもののpulsatility indexが上昇する傾向にあることが判明し、タダラフィルによる胎盤機能不全の改善が示唆される結果であった。 またヒトを対象としたsFlt-1およびPlGFの、タダラフィル内服前後における動態の変化に関しても評価が行われた。胎児発育不全に対するタダラフィル母体経口投与の有効性・安全性に関する臨床研究 第Ⅱ相多施設共同研究(TADAFERⅡ)に登録された症例を対象として、血清のsFlt-1およびPlGFを計測し、評価を行ったが、内服2週間後の血清では変化を示すことができなかった(タダラフィル群13症例vs従来型治療群11症例)。検体保存を行った症例が少なく、さらなる症例の蓄積が必要であると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では研究1;FGRモデルマウスにおけるタダラフィル内服前後の、angiogenic factorであるsFlt-1、sEng、PlGFの変化を追跡すること、および研究2;FGRおよびHDP症例における、タダラフィル内服前後の子宮動脈の血流量変化を、超音波ドプラ法による計測で明らかにすることを目標とした。 ①に関してはヒトを対象としたsFlt-1およびPlGFなどのangiogenic factorのタダラフィル投与前後の評価は始まっており、以後症例の蓄積によりangiogenic factorの動態の詳細な検討を行っていく予定である。現時点でマウスに関しては行われていない。 ②に関してはドプラによるタダラフィル投与前後の血行動態の評価は症例蓄積およびデータ収集が着実に進んでいる状況であるが、解析には至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では研究1;FGRモデルマウスにおけるタダラフィル内服前後の、angiogenic factorであるsFlt-1、sEng、PlGFの変化を追跡すること、および研究2;FGRおよびHDP症例における、タダラフィル内服前後の子宮動脈の血流量変化を、超音波ドプラ法による計測で明らかにすることを目標としているが、今後は ①angiogenic factorの評価をヒトおよびマウスで行っていく。こちらは現在始まったばかりであり、今後さらなる蓄積が必要である。 ②さらにデータを蓄積し、子宮動脈血流量の評価を中心に超音波ドプラ法による胎児および母体の血行動態の評価を、より詳細に評価していくことを今後の方策とする。子宮動脈に限らず、臍帯動脈および胎児中大脳動脈、胎児静脈管の血管抵抗などの評価が胎児胎盤循環の評価につながる可能性が高いと考えられ、超音波ドプラ法によりそれらの血流評価を蓄積していくこととする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
症例およびデータの蓄積が不足しており、薬剤など含めて経費の持ち越しが発生したため。
|