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2019 年度 実施状況報告書

子宮内膜症関連卵巣癌としての明細胞癌におけるIL-24の役割

研究課題

研究課題/領域番号 19K18706
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

岩佐 尚美  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (10627152)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード卵巣癌 / 子宮内膜症
研究実績の概要

卵巣明細胞癌は子宮内膜症との関連が報告されているが、内膜症から明細胞癌が発癌する経路は明らかとはなっていない。その癌化経路を明らかにし、癌化を予防できる薬剤を開発することを目的として研究を開始した。卵巣内膜症性嚢胞の内容液を卵巣表層上皮細胞株(HOSE)に添加したところ、IL24の発現がHOSEにおいて著明に上昇した(P<0.001)。同様に内膜症性嚢胞の内用液をHOSEに添加したところリン酸化STAT3の核内における発現が有意に上昇した(p<0.0001)。STAT3はIL6により活性化することが知られており、その経路にIL24が関与している可能性を考え、リコンビナントのIL24をHOSEに添加してその影響を観察した。その結果IL24をHOSEに添加してもSTAT3のリン酸化は明らかには認められなかった。IL24をHOSEに添加し、IL6の発現に及ぼす影響を検討したところ、IL24によりIL6の発現は変化を認めなかった。また、卵巣癌においてpublic databaseを用いてIL24の発現を検索したところIL24高発現群の予後は良好であった(p=0.018)。IL24のレセプターであるIL20R1とIL20R2に関して卵巣癌における発現を解析したところIL20R1の高発現は予後良好因子であり(p=0.015)、IL20R2の高発現は予後不良因子であった(p=0.0056)。IL24は外因性に添加しても明らかにはIL6-STAT3経路への影響は認めず、内因性のIL24の影響を今後は解析していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

IL24を外因性に添加しても卵巣表層上皮細胞(HOSE)に明らかなIL6-STAT3経路への影響は確認できなかった。IL24は外因性に加えるとアポトーシスが惹起されることが報告されているが、HOSEにおいてIL24によるアポトーシスも認められなかった。

今後の研究の推進方策

外因性のIL24は卵巣表層上皮細胞においてSTAT3経路の活性化に関与しなかった。内因性のIL24が重要である可能性を考慮し、HOSE細胞を用いてIL24の強制発現株およびノックダウン株を作成し、機能解析を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

IL24の強制発現細胞株およびノックダウン細胞株を用いた研究を2019年度に行う予定であったが、研究の遅れにより2019年度中に実施できなかった。そのため、IL24の強制発現細胞株およびノックダウン細胞株を用いた研究を2020年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 成熟嚢胞性奇形腫に起因する傍腫瘍性辺縁系脳炎と考えられた一例2019

    • 著者名/発表者名
      松田亜季、岩佐尚美、藤岡陽子、和田美智子、 樋野牧子、服部純尚、倉橋 崇、中川博之
    • 雑誌名

      日産婦内視鏡学会

      巻: 35-2 ページ: 257-261

    • 査読あり
  • [学会発表] 腹腔鏡下子宮全摘術後の腟断端離開に対して腹腔鏡下に修復を行った一例2019

    • 著者名/発表者名
      岩佐 尚美,境 委美,北澤 晶子,高橋 美央,松田 亜季,坂井 健良,福武 麻里絵,藤岡 陽子,和田 美智子,樋野 牧子,服部 純尚,倉橋 崇,中川 博之
    • 学会等名
      日本産科婦人科内視鏡学会
  • [学会発表] 卵巣明細胞癌治療後に家族歴を契機として遺伝性乳癌卵巣癌症候群と診断された一例2019

    • 著者名/発表者名
      岩佐 尚美, 平尾 薫丸,田中 雄也,松田 亜季,坂井 健良,境 委美,福武 麻里絵,藤岡 陽子,和田 美智子,樋野 牧子,服部 純尚, 倉橋 崇,中川 博之
    • 学会等名
      日本婦人科腫瘍学会
  • [学会発表] 高齢者に対する腹腔鏡下手術の有用性の検討2019

    • 著者名/発表者名
      松田 亜季,岩佐 尚美,田中 雄也,境 委美,福武 麻里絵,藤岡 陽子,和田 美智子,樋野 牧子,服部 純尚, 倉橋 崇,中川 博之
    • 学会等名
      日本産科婦人科学会

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公開日: 2021-01-27  

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