研究課題/領域番号 |
19K18707
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
平山 貴士 順天堂大学, 医学部, 助教 (20816962)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | リンパ浮腫 / インドシアニングリーン蛍光造影検査 / リンパ管蛍光造影検査 / リンパ管静脈吻合術 / 卵巣がん / 子宮頸がん / 婦人科癌 / LVA |
研究実績の概要 |
昨年度に無事研究体制が整い、研究が開始された。本年度は昨年度に引き続き、症例集積に努めた。2022年3月末時点で45回の検査が実施され、15名の患者さんにご協力いただいた。COVID-19の流行により通院面での不安から研究参加が難しくなる方もおり、3例が中止となったが、目標症例数30症例に向けて着実にリクルートを進めている。 現時点までの進捗としては、主要評価項目である術前のICGリンパ管蛍光造影の安全性に関しては有害事象は一例も認めておらず、安全に検査を行うことができている。副次的評価項目に関しては、有用な知見が徐々に得られ始めている。今までの結果を一部解析してみると、まずICGリンパ管造影でリンパ浮腫の発症を定義するdermal backflowに関しては、追跡している12例のうちわずか2例しか認めていない。既報では骨盤リンパ節郭清後のリンパ浮腫発症率は20-30%程度と報告されているため、当院の結果とはやや乖離がある結果となっている。この2例のリンパ浮腫発症要因として、既報の放射線治療歴やリンパ節郭清時の摘出リンパ節の個数、BMIなど検討したが、現時点では独立した要因の特定には至っていない。引き続き症例の蓄積と9ヶ月までの長期的な追跡を続けていく必要がある。そして何より興味深い点としては、dermal backflowを呈した2例はいずれも下肢の浮腫の自覚症状は認めていなかった点である。これはすなわち、手術による直接的なリンパ管機能の障害に伴う、症状を伴わないリンパ浮腫の状態が存在することを示唆する。本結果より、下肢の浮腫という症状として顕在化した段階ではすでにリンパ浮腫として時間が経過し、完成しきった状態になってしまっている可能性があることを意味するものであった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の流行によるCRB開催の遅れに伴う特定臨床研究の認可が下りるまでに昨年度一年要したため、やや遅れている。症例の登録に関しては順調に進行しており月に2-3件の新規患者リクルートを行なっており、月に4-5件の検査を行なっている。症例登録開始後は比較的順調に進行していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点では有害事象は認めておらず、研究継続が可能な段階であると判断している。引き続き予定症例である30例までリクルートを進め、今回見られている所見が有意なものなのか、そして術後9ヶ月という最終評価時点でのリンパ管造影検査の結果と自覚症状の相関に関して最終解析を行い、術後リンパ浮腫発症のリスクファクターの抽出を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
引き続き本研究に同意いただけた患者の検査費用を研究費から捻出するため。
|