研究課題/領域番号 |
19K18708
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
西島 義博 東海大学, 医学部, 助教 (80453710)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MGARP |
研究実績の概要 |
今年度の研究では、ヒト胎児副腎皮質(HFA)モデル細胞株のNCI-H295A細胞を用いて低酸素模倣下でのMGARPの発現挙動について、転写因子Hypoxia Inducible Factor-1 (HIF-1)の関与の観点から検討した。NCI-H295A細胞に対して塩化コバルト(0.1mM)添加を行い疑似低酸素状態 とした。Western blotで評価すると、HIF-1α蛋白発現は6時間後には4-5倍、24時間後には20倍以上に著明に増強することが確認できた。この条件下で、ステロイドホルモン産生細胞特異的に発現するMGARP発現を見てみると、6時間後には2倍、24時間後には6倍発現が増強した。またこのMGARP蛋白発現の増強はHIF-1α阻害剤であるEchinomycin(1nM)の共存下ではほぼ完全に抑制された。MGARPは我々がマウス副腎Y-1細胞でプロゲステロン産生に関与することを報告したミトコンドリア蛋白であり、ヒト胎児副腎皮質ではステロイドホルモン産生層である胎児層に主に発現する。したがって低酸素下でHIF-1がステロイドホルモン産生を制御し、これにMGARPが関与している可能性がある。一方、NCI-H295A細胞の親戚株であるNCI-295R細胞ではHIF-1αの増強は軽微に留まる。副腎皮質研究に頻用されるNCI-295R細胞に比較して、NCI-H295A細胞の発現プロファイルは、より胎児副腎皮質の表現型に近いことが知られており、今回の結果からモデル細胞としての妥当性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度末より、COVID-19対応により研究に配分できる時間が制限され、研究進捗に若干の影響が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度からは、MGARP研究に慣れた研究助手に補助をお願いすることになっており、COVID-19による勤務縮小体制が解除された後は、研究の進展が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 2019年度後半に、COVID-19対応などにより一部の実験の進展に遅れが生じたため、その分に必要な額を次年度にまわすことになった。 (計画) 今年度は、実験の補助をおこなってもらう要員の雇用を行って研究実施体制を強化し、COVID-19終息後にやや遅れていた部分の研究を精力的に進めていきたい。繰越金と本年度分 の金額の支出については、これまで通り効率的に実施する予定である。
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