研究課題
若手研究
本研究成果はPZPが炎症を感知して発現亢進し、組織局所でリンパ球浸潤を抑制して炎症制御に働く可能性を示したことである。胎盤局所に炎症を来す炎症性異常妊娠においては、PZPは胎盤の炎症を抑制し、流産や胎児機能不全から保護的に働く可能性が考えられた。また、胎児組織は胎盤から母体循環に流入するが、母体全身を循環するPZPがアログラフトによる免疫応答を抑制し、妊娠中の免疫環境を維持する可能性が考えられた。
炎症性異常妊娠
PZPは血漿タンパク質であり測定が容易でモニタリングに適するため、抗体産生が原因となる流産や免疫に関連したトロフォブラスト形成不全に伴う産科合併症の発生を早期診断し、病状の評価にも有用である可能性がある。また液性タンパク質であり合成が容易で、これらの予防や治療に関する研究面での新たなアプローチや創薬にも道を開く可能性がある。また、本研究のマウスモデルは、胎盤局所のみならず、全身性の免疫調節にPZPがどのように寄与するのか明らかにするために有用である。