研究課題/領域番号 |
19K18716
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
前田 裕斗 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 臨床研究員 (90835464)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 産後うつ / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
産後うつは妊産婦死亡の最大の原因である自殺の大きなリスクである。申請者らは自施設のコホートを解析し、産褥期の貧血が産後うつと有意に相関することを明らかにした。しかし貧血が本当に産後うつの素因となるのか、またその機序はわかっていない。本研究では、近年産後うつの機序として有力視されるエピジェネティックな変化について産褥期の貧血による影響を調べることを目的とした。本年度は具体的な研究計画を下記の通り策定した。 ・当センターに通院する妊婦を対象とし、産後うつ患者と正常産褥婦、貧血-非貧血で4群に分け、妊婦健診時に通常採取する血液検体を一部解析に用い、マーカーとなる遺伝子について産後うつに関係する既知の遺伝子多型及びプロモータ領域のメチル化の程度について解析を行い、比較する。 ・解析の対象となる、産後うつとの関連が示された既知のマーカーとなる遺伝子は次に記載する通りである。5HTT(セロトニントランスポーター)、OXTR(オキシトシン受容体)、BDNF(脳由来神経成長因子)、エストロゲン感受性遺伝子(HP1BP3、TTC9B) 上記研究計画書を基に倫理申請を行おうとしていたが、COVID-19の影響による研究活動及び患者リクルートが停止してしまった。そのため現在既にバイオバンクに登録されている既存の検体の遺伝子解析を予定している。貧血の与える変化に焦点を当てるのではなく、産後うつ患者における候補遺伝子のメチル化状態の評価を行う。具体的には産後うつ患者4例、正常4例程度のデータについて、元々の報告書に記載のある5つの候補遺伝子のメチル化状態について比較・統計解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たに当センターに通院する妊婦を対象とし、産後うつ患者と正常産褥婦、貧血-非貧血で4群に分け、妊婦健診時に通常採取する血液検体を遺伝子解析に用いる予定であったが、COVID-19流行の影響を受けリクルートが停止した。 そのため既にバイオバンクに登録されている検体の解析結果を統計的に解析することで候補となるマーカー遺伝子についてメチル化の程度を解析・比較する方針とした。現在遺伝子解析結果は出揃っており、統計解析・報告書作成の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
既に得られている遺伝子解析の結果について統計的に比較検討を行い、報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた遺伝子解析を行わず、既に登録・解析された検体についての結果を利用する方針となったため。
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