研究課題
妊娠高血圧腎症(PE)は高血圧と蛋白尿を呈し、胎児発育不全や常位胎盤早期剥離等の重篤な合併症を来す予後不良の疾患である。しかし、PEの根本的治療法は現在においてもtermination(妊娠の終了)に限られており、PEの病態の解明と治療法の開発は母児管理上の最重要の課題である。当研究所の寒川らが発見した新規生理活性ペプチドであるアドレノメデュリン(AM)は強力な降圧作用を有するが、ヒトPE患者では血中AM濃度が低値であることが報告されている。本研究計画ではAM遺伝子欠失マウスを用いてAMの妊娠時の生理的意義を解明し、PEモデルマウスを用いてAMの治療効果について検証することを目指している。初年度は、血中AM濃度が野生型の約半分であるAM遺伝子ヘテロ欠失マウスを用いて妊娠時の表現型を解析し、妊娠時におけるAMの生理的意義の解明に着手した。AM遺伝子ヘテロ欠失マウスにおいて、非妊時、妊娠10.5日齢、12.5日齢、14.5日齢、18.5日齢の血圧測定および血漿サンプル、尿サンプルの採取を行った。血漿サンプルはAMおよびsFlt1濃度をELISA法(LSBio、R&D Systems)によって測定した。尿サンプルは尿蛋白、尿中アルブミン、尿中クレアチニンの濃度測定を行った。AM遺伝子ヘテロ欠失マウスにおける、PEと同様の所見の有無および血中AM濃度と高血圧・蛋白尿との相関関係の有無を調べている。
2: おおむね順調に進展している
データの集積中であり、今後検討を進めていく。
AM遺伝子ヘテロ欠失マウスのデータをさらに集積する。また、PEモデルとして子宮動脈結紮結紮モデルを作製し、AMの治療効果の検討を行う予定である。
学会参加費、旅費が不要であった。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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