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2019 年度 実施状況報告書

IL-12による好酸球性副鼻腔炎の病態制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18718
研究機関北海道大学

研究代表者

中薗 彬  北海道大学, 大学病院, 医員 (90581041)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード好酸球性副鼻腔炎 / 鼻ポリープ / インターロイキン12
研究実績の概要

本研究ではインターロイキン12(以下、IL-12)による好酸球性副鼻腔炎の病態制御機構解明を目的としている。好酸球性副鼻腔炎では鼻副鼻腔粘膜におけるタイトジャンクションの形成低下およびバリア機能低下が発症メカニズムにおいて重要である。IL-12のバリア機能への影響を確認するため、primary human nasal epithelial cell(以下、pHNEC)の気相―液相培養(air-liquid interference culture、以下ALI培養)を確立した。これによりALI培養された細胞における経上皮電気抵抗(transepithelial electrical resistance、以下TEER)を測定することによりバリア機能を評価可能となった。今後、好酸球性副鼻腔炎・非好酸球性副鼻腔炎・健常例のALI培養ににおいてリコンビナントIL-12によるバリア機能への影響を評価予定である。
また鼻腔粘膜においてpoly(I:C)刺激によりIL-12のmessenger RNA(以下、mRNA)の発現量が低下することを明らかにした。poly(I:C)は自然免疫シグナルを活性化すること、慢性副鼻腔炎においてはIL-12が低下していることから、自然免疫の活性化が好酸球性副鼻腔炎発症のメカニズムに関与している可能性が示唆された。
上記のpoly(I:C)は合成二本鎖RNAであるが、細胞内においてはMDA5により認識され自然免疫の経路が活性化される。MDA5のシグナル伝達においてはTRIM65によるMDA5のユビキチン化が重要であることから、TRIM65のIL-12産生および好酸球性副鼻腔炎の病態への関与が推定された。TRIM65のクローニングおよびTRIM65安定発現細胞株を樹立した。今後安定発現細胞株の質量分析により結合タンパク質を評価中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

pHENCからALI培養の確立にやや時間を要したが、好酸球性副鼻腔炎への自然免疫シグナルの関与、IL-12へのMDA5およびTRIM65の関与に関しては、現在結合タンパク質の同定およびその機能解析も進行中である。

今後の研究の推進方策

好酸球性副鼻腔炎、非好酸球性副鼻腔炎、健常例の各ALI培養における、IL-12によるTEER測定やタイトジャンクション形成への影響を評価することにより、バリア機能の評価さらには好酸球性副鼻腔炎の病態解明を目指す。
poly(I:C)刺激によるIL-12のmRNA発現量の低下からは、自然免疫の影響が示唆される。細胞内でpoly(I:C)を認識するMDA5および、MDA5シグナルにおいて重要なTRIM65遺伝子についても、引き続き機能解析を継続予定である。鼻茸・鼻副鼻腔粘膜中でのTRIM65発現についても評価予定である。

次年度使用額が生じた理由

参加予定であった学会が新型コロナウイルスの影響で中止になり、使用予定だった旅費・参加費が繰り越された。また、試薬や実験機器については教室で保管してあったものを使用できたため、その購入費用がかからなかった。
今後、細胞培養、タンパク発現評価やmRNA評価のため、試薬類(培地、各種抗体やprimer等)の購入予定である。また延期となった学会が開催されるようであれば、旅費として使用予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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