本研究は、酸化ストレス防御に働く含セレン蛋白質に注目し、必須微量元素セレンの欠乏による感音難聴発症のメカニズムを明らかにし、 臨床応用につなげることを目的としたものである。 本研究は、マウス遺伝学による基礎研究と、耳毒性をもつ代表的薬剤シスプラチン投与をうける頭頸部がん患者における観察研究を併行して行なった。マウスにおいて音響暴露後にABRにて聴力評価した結果としては、低セレン餌の飼育のみでは、通常餌と比べてABRの値に有意な差は認められなかった。Nrf2欠失マウスを低セレン餌で飼育して、同様の検討をすすめているが、安定した結果が得られておらず、仮説の検証は途中である。
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