研究課題
若手研究
好酸球性副鼻腔炎は嗅覚障害を来す代表的疾患であるが、その病態生理の詳細は未解明である。本研究では活性型ビタミンD3誘導体を用いて、好酸球性炎症のマスター制御因子であるTSLPを多量に誘導することにより、鼻副鼻腔に重度の好酸球性炎症を起こすマウスモデルを確立した。そのモデルを用いて、マウスの嗅上皮に組織学的変化が生じていることを示した。本モデルでは、鼻粘膜下の好酸球浸潤だけでなく好塩基球やM2マクロファージの浸潤も認められ、ヒトの好酸球性副鼻腔炎の特徴を反映したモデルである。
鼻科学、アレルギー学
好酸球性副鼻腔炎は物理的な鼻閉だけでなく嗅神経系に様々な免疫学的影響を与えると考えられるが、ヒトの嗅上皮を採取して解析することは技術的・倫理的にやや困難であるため、優れた動物モデルが必要であった。本研究の成果により、鼻副鼻腔の好酸球性炎症が嗅神経系に与える影響の解析が可能になり、今後、嗅覚障害に対する有効な治療法確立に役立てることができると期待される。