研究課題/領域番号 |
19K18726
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
堤内 俊喜 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 特命助教 (60720084)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 好酸球性副鼻腔炎 / 非好酸球性副鼻腔炎 / L-セレクチン / アスピリン喘息 / 硫酸化シアリルルイスX / アレルギー性鼻炎モデルマウス |
研究実績の概要 |
好酸球性副鼻腔炎における好酸球浸潤機序の解明に際し、好酸球性副鼻腔炎および非好酸球性副鼻腔炎において、好酸球浸潤の最初のステップで炎症血管に発現するPNAdの発現率が有意に好酸球性副鼻腔炎において高いことを確認した。その成果について、2019年10月に東京で開催された日本鼻科学会で発表した。 その情報をもとに、現在好酸球性副鼻腔炎の重症度や喘息・アスピリン喘息(AERD)の合併症や臨床パラメータが、血管数の発現などと相関し、炎症の指標となるかについての解析を行っている。 また、好酸球での炎症と類似した機序や作用で、好中球での炎症が起きているかについて非好酸球性副鼻腔炎の鼻粘膜を用いて、解析を行う予定であるがそれら血管に発現するセレクチンに対しての特異抗体の作成をすすめている。 また、好酸球性炎症として好酸球性副鼻腔炎とは別の病態であるアレルギー性鼻炎に着目している。好酸球性副鼻腔炎をモデルとしたマウスはないが、アレルギー性鼻炎モデルマウスは現在様々なものが存在する。それらのモデルマウスの鼻粘膜中の好酸球浸潤およびPNAd陽性血管の発現を調べ、抗アレルギー薬を投与することでその血管発現に差が出るかの解析を行う予定である。現時点では、シラカバ花粉モデルマウスで、実際に鼻粘膜を染色してみたがPNAd陽性血管の発現が、通常モデルのマウスと差がなかったため、好酸球浸潤をより起こさせて再度検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度では、好酸球性副鼻腔炎の鼻粘膜の炎症性血管内皮上に発現している硫酸化糖鎖構造に着目し、そのリガンドが好酸球上に発現していることが確認された。その中で、好酸球上にシアル酸結合Ig様レクチンが発現していることも確認できたため、その特異的結合糖鎖を認識できる抗体の作成をすすめる予定であったが、現時点ではその抗体作成には取り掛かっていない。 一方で好中球炎症にかかわる、リガンド認識抗体については現在作成中である。実際の鼻粘膜検体に対しての使用などは準備が整い次第開始していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
好酸球性副鼻腔炎の重症度と、好酸球炎症の指標となりうる発現血管の相関、また臨床パラメータとの相関などを解明すれば、今後の予後予測因子や治療選択の一助となる可能性があり現行のデータ解析は継続する予定である。 今回好酸球性副鼻腔炎で解析した糖鎖構造や炎症浸潤機序の一部が、アレルギー性鼻炎でも起きているとすると、炎症改善前後での発現差などを解析することで、重症度や治療効果病態解明の一助となる可能性がありそちらについて現在進行形で行っている。マウス検体、ヒト検体いずれも使用することでより成果につながるよう尽力したい。 上記記載の抗体作成については、引き続き技術的サポートを依頼しながら継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度では、前記した抗体作成にとりかかることができず、使用する予定であった試薬やキット分の費用が余ったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、引き続き抗体作成に必要な試薬やキットの購入、またアレルギー性鼻炎モデルマウスの購入や鼻粘膜など上気道への好酸球浸潤モデルマウスの作成などに必要な試薬、キットの購入、経過記録用の機材やパソコン周辺機器、検体採取に必要な機材や参考書の購入をする予定である。
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