Metastasis-associated with colon cancer 1(以下MACC1)は、PI3K/AKTシグナル経路を介してさまざまな悪性腫瘍の病態に関与している。しかし、頭頸部癌とMACC1の関連については報告がない。本研究では、頭頸部癌におけるMACC1の発現を調べ、さらにPI3K/AKTシグナル経路がどのように病態に関与しているかを調べ、MACC1以外にも検出された因子があれば、臨床因子との関連を検討する。具体的には、ヒト頭頸部癌症例の手術・組織生検の際に切除した組織を用いてPI3K/AKTシグナル経路関連因子の網羅的検討を行う。採取した組織を用いて遺伝子アレイ解析を行う。アレイ解析では多くの因子に発現の変化がみられることが予想され、予後や治療効果などの臨床データとの関連性を調べることにより、それらの因子の臨床的意義を解析し、重要と思われる因子の絞り込みをおこなう。絞り込まれた因子に関して組織中の局在を免疫組織学的に検討する。臨床的に意義深い可能性のある因子に関して、ヒト培養癌細胞株を用いた検討を行う。この結果に基づいて、頭頸部癌に対する新規治療法 やバイオマーカーの確立を目指す。 まず最初に早期声門癌におけるMACC1発現の有無と放射線治療後もしくは化学放射線療法後の再発の関連について検討を行った。MACC1強陽性の早期声門癌では有意に再発しやすいことを確認したため、論文投稿を行い受理された。その後、早期声門癌におけるMACC1発現と再発の関連を調べる前向き研究を開始した。前向き研究を開始して2年経過しているが、登録症例数が予定よりかなり少なく、検討を行うまでには至っていない。
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