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2019 年度 実施状況報告書

内耳カルシウム制御に関する新たな分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18738
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

南方 寿哉  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10770612)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードカルシウム感知受容体 / ダブルノックアウトマウス
研究実績の概要

我々は予備実験として内耳のラセン靭帯においてカルシウム感知受容体(CaSR)の発現を免疫染色、ウェスタンブロッティング法にて確認した。また、蝸牛正円窓を介して薬剤を直接内耳へ投与しながらABRをモニタリングすることで聴力変化を測定する実験系を確立し、CaSRの選択的アンタゴニストであるNPS-2143の正円窓経由の投与により聴力が低下することを見出した。
加えて本年度はCaSR作動薬であるR-568を同様に正円窓経由で内耳へ投与を行い、投与前及び投与後に聴力の測定を検討した。結果、作動薬投与でも平均20-30dBの聴力の低下を認めた。次いで、CaSRが実際に内耳において機能しているかを確認するためカルシウムイメージング法を施行した。免疫染色で発現が確認できたラセン靭帯のⅠ型線維細胞の分布部位に一致してCa負荷によりCa濃度の上昇を認めた。また、この反応はCaSRアンタゴニストであるNPS2143投与にて阻害された。このことからCaSRがラセン靭帯で機能的発現していたことが確認できた。
このことからCaSRが内耳においてCaセンサーとして働いており正常な聴覚へ寄与している可能性が示唆された。そこでCaSRノックアウトマウスの作製に取り掛かった。CaSRの単独ノックアウトマウスでは生後数時間で高カルシウム血症を発症し死亡してしまい研究に使用できない。一方、CaSR/PTHのダブルノックアウトマウスでは生後数か月までは少なくとも生存できることが報告されている。CRISPR/Cas9法を用いCaSR/PTHダブルノックアウトマウスの作製を開始している段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カルシウムイメージング及び薬剤投与実験にてCaSRの内耳ラセン靭帯での機能的発現及び正常聴覚への関与を明らかにできた。本研究の目的であるCaSRの聴覚への関与について明らかにできたとういう点で、順調に進展がみられている。

今後の研究の推進方策

今後はCaSR/PTHダブルノックアウトマウスを用い、さらなるCaSRの内耳における機能を検討する。

次年度使用額が生じた理由

ノックアウトマウスにて評価する予定の聴覚生理実験機材を当初本年度の購入予定であったがマウス作製状況に併せて次年度へ持ち越したため。次年度は該当機材を購入し研究をすすめる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Calcium-Sensing Receptor is functionally expressed in the cochlear perilymphatic compartment and essential for hearing2019

    • 著者名/発表者名
      Toshiya Minakata Akira Inagaki Aya Yamamura Hisao Yamamura Shinji Sekiya Shingo Murakakami
    • 雑誌名

      Frontiers in Molecular Neuroscience

      巻: 12 ページ: 175

    • DOI

      10.3389/fnmol.2019.00175

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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