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2019 年度 実施状況報告書

VEGFR阻害による甲状腺未分化癌の再分化誘導治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K18740
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

熊代 奈央子  和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (50746435)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードE7080 / VEGFR阻害 / 甲状腺未分化癌
研究実績の概要

本年度は甲状腺癌細胞株の8505Cを用いたセルラインによるvitro実験を中心に研究仮説の解明を行った。甲状腺癌において最も使用頻度の高いVEGFR 阻害剤(E7080, lenvatinib)を用い、VEGFR阻害が主にAKT-mTORパスウェイを抑制する事を証明した。具体的には、E7080を50μMから希釈し、XTTによって8505CのIC-50は24.3μMである事をまず発見した。ウエスタンブロット染色を行い、VEGFRの阻害によりAKTのリン酸化が濃度依存的に抑制されることを証明した。加えて更にCleaved Caspase 3, 9などのアポトーシス誘導蛋白の発現亢進を認めることも発見した。遺伝子断片化試験では、DNA fragmentationを証明出来なかったが、蛍光細胞染色により、カスパーゼの亢進を捕らえることが出来た。これらの実験より、抑制されたAKTシグナルパスウェイは、壊死シグナルを強く誘発する事も観察した。しかし、リン酸化ERKなどの蛋白発現量には著変は認めず、当初考えられていたMAPK経路の抑制効果は弱く、細胞増殖、再分化誘導への影響は少なかった。
他の甲状腺癌細胞株ASH3を用い、蛋白の発現を上記と同じく評価を行った。E7080によりAKTのリン酸化が抑えられることを証明した。しかし、ERKのリン酸化が濃度依存的に強く起こり、VEGFRの抑制作用に抵抗していることが観察された。
甲状腺未分化癌患者組織のVEGFR発現を評価する為に免疫染色法のテストサンプル染色を行った。しかし、十分な染色結果が得られない為、抗体濃度等の調整中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請者は現在までに8505Cを用いたセルラインによる実験を中心に行った。現在、甲状腺癌において最も使用頻度の高いVEGFR 阻害剤(E7080レンビマ)を用い、VEGFR阻害が主にAKT-mTORパスウェイを抑制する事を証明した。具体的には、E7080を50μMから希釈し、8505におけるIC-50は24.3μMである事を発見した。また、ウエスタンブロット染色を行い、AKTのリン酸化が濃度依存的に抑制されることを証明した。加えて更にCleaved Caspase 3, 9などのアポトーシス誘導蛋白の発現亢進を認めることも発見した。遺伝子断片化試験では、DNA fragmentationを証明出来なかったが、蛍光細胞染色により、カスパーゼの亢進を捕らえることが出来た。これらの実験より、抑制されたAKTシグナルパスウェイは、壊死シグナルを強く誘発する事も観察した。しかし、リン酸化ERKなどの蛋白発現量には著変は認めず、当初考えられていたMAPK経路の抑制効果は弱く、細胞増殖、再分化誘導への影響は少なかった。
他の甲状腺癌細胞株ASH3を用い、蛋白の発現を上記と同じく評価を行った。E7080によりAKTのリン酸化が抑えられることを証明した。しかし、ERKのリン酸化が濃度依存的に強く起こり、VEGFRの抑制作用に抵抗していることが観察された。
加えて、甲状腺未分化癌患者組織のVEGFR発現を評価する為に免疫染色法のテストサンプル染色を行った。しかし、十分な染色結果が得られない為、抗体濃度等の調整中である。

今後の研究の推進方策

VEGFR阻害剤・E7080ではMAPK経路の抑制効果は弱く、再分化誘導を十分に発揮できなかった。そこでVEGFR阻害剤とMAPK選択的阻害剤の併用による、腫瘍抑制効果と再分化誘導に関する評価を本年開始している。
MEK阻害剤であるU0126を用い、E7080との相乗効果を評価する為、細胞増殖試験、XTT Assay、ウェスタンブロット、定量的PCRなどによる評価を予定している。
また、E7080の薬理作用が影響する可能性もあり、siRNAや他の選択的VEGFR阻害の方法、さらには甲状腺未分化癌セルラインの変更をもって、更なる研究データの蓄積を予定している。

次年度使用額が生じた理由

学会出張が少なかったため次年度使用額が生じた。次年度の試薬購入にあてたいと考えている。

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公開日: 2021-01-27  

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