研究課題/領域番号 |
19K18743
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
籾山 香保 北里大学, 医学部, 助教 (50748663)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中咽頭癌 / HPV関連癌 |
研究実績の概要 |
中咽頭癌において、HPV関連および非関連癌でREV7発現との関連を調べることを目的として研究を開始した。これまで、卵巣癌や精巣癌、血液腫瘍などでREV7高発現が治療抵抗性の1つであることが示されている。中咽頭癌ではHPV感染の有無が明らかに治療感受性に関与し、ステージングにも採用されている。 よって、まずは当院の中咽頭癌症例におけるREV7およびp16の発現を確認するため免疫染色を行った。結果として、p16陽性群で治療感受性が高いことが示されたが、REV7発現の有無では治療感受性に有意差は示されなかった。しかし、それぞれの発現に逆相関関係があることが示された。なお、ここまでの内容は頭頸部癌学会の基礎研究部門で発表した。 他の癌腫のようにREV7発現と治療感受性、予後への影響の有意差を持つ関係は示されなかったが、もともとp16という強い規定因子があるためと考えられた。REV7発現による治療感受性の有意差は、現時点では示されなかった。 中咽頭癌の治療で、特に化学放射線療法でのDNA修復にどのように関わり逆相関を示すのか検討するため、検体数を増やし同様に免疫染色を開始した。 また、今後HPV陽性および陰性頭頸部癌細胞株を用いて、REV7、p16の発現を調べノックダウンによる影響を検討するため、細胞培養を比較的安定している口腔癌の細胞株を用いて行い、手技を獲得した。それらを用いて蛋白定量をウエスタンブロット法で行い中咽頭癌での手技に転換できるようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
人員配置により、臨床の分量が増えたため。
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今後の研究の推進方策 |
症例を増やしレトロスペクティブに行ったHPV関連癌とREV7発現(予後予測因子、治療感受性因子)の関係をまとめ、学会発表につなげていく。 また、HPV陽性および陰性中咽頭癌の細胞株を購入し、p16やREV7の発現レベルを調べる。次にウエスタンブロット法で蛋白レベル及びmRNAの定量化に取り組む。 HPV陽性および陰性中咽頭癌細胞株の、shRNAにおけるRev7ノックダウン効果をウエスタンブロット法で確認する。 可能であれば、それぞれの細胞株を用いて、Rev7ノックダウンによるin vitroでの細胞増殖抑制効果(化学放射線療法増感効果)をWST-8 assayにて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床検体の検討、細胞株培養の手技獲得には着手できたが、臨床業務に時間を割かれHPV陰性および陽性癌でのREV7発現やp16発現の検討に着手できなかった。よって、培養皿やピペット、ガラス器具など消耗品を必要としなかった。また、国際学会参加ができなかった。よって、消耗品代や学会参加費を必要としなかったために次年度使用額が発生した。 次年度はHPV陽性および陰性の中咽頭癌の細胞株を購入し、p16やREV7の他発現レベルを調べること、次にウエスタンブロット法で蛋白レベルの定量化に取り組む予定である。 また、レトロスペクティブに行ったHPV関連癌とREV7発現(予後予測因子、治療感受性因子)の関係を症例数を増やして再検討し学会発表につなげていく。よって、次年度経費と合わせて、細胞株購入や学会参加費に充当する予定である。
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