ウサギを用いた創傷治癒モデルを作成した。具体的には鼻中隔軟骨上に血流のある有茎粘膜弁と血流のない有遊粘膜弁での上皮化を比較し、上皮化に有用な因子として血流が重要だということがわかった。具体的には、移植をする際のグラフトに血流がない場合は、グラフトの土台になる場所に血流が必要。グラフトに血流がある場合は、土台の血流は上皮化に大きく寄与しないということがわかった。血流の無い土台に、血流の無いグラフトを移植すると、グラフトが壊死するだけでなく、上皮の繊毛がなくなった結合織になってしまう。土台の部分に炎症性サイトカインが有意に増殖する。そのため、術後の不良肉芽の作成や、長期の痂皮の原因となることだけでなく、実臨床で骨増生が起きる原因となることが示唆された。 加えて、創傷被覆材の種類による創傷治癒の違いや治癒を促進する因子を報告をした。創傷被覆材に関しては、被覆材の遺残による上皮化の不良が見受けられた。そのような資材を使用する場合は、抜去をするタイミングを早くすることで上皮化が改善するということがわかった。そのため創傷被覆材は早期に分解されるものが良く、そうで無い場合は、術後早期に抜去をすることが重要だということが示唆された。 鼻粘膜シートの上皮化に関しても検討を行い、ウサギの上顎洞底部に移植をするモデルを作成し、結果を検討した。粘膜シートは現状のものであると上皮化及び骨増生の抑制には良い影響は少ないという結果であった。結果を論文作成中。
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