研究実績の概要 |
これまで検討した酸化ストレスにより産生された過剰な活性酸素腫(ROS)がミトコンドリアに影響を与えることで加齢性難聴を促進させるという結果を英論文として報告した。具体的には以下のとおりである。 遺伝学的検査でミトコンドリアDNAの解析を行い、特定のDNA多型を持つ遺伝的集団を区分するハプログループの解析を行った。同じハプロタイプの集団は遺伝的にも同じような形質を持つといわれている。ハプログループはA, B4, B5,D4a, D4b, D5,F, G1, G2, M7a, M7b, N9に分類される。今回は特定のハプログループと加齢性難聴との関係性について調査を行った。多重比較検定を行ったところ男性のハプログループAが有意に難聴をきたしやすい結果となった。女性ではハプログループN9が有意に難聴になりにくいという結果となった。 ハプログループAは細胞内のROSレベルを上昇させアテローム血栓性脳梗塞の罹患リスクを上昇させると報告されている。またハプログループN9はROSの漏出をしにくい構造を作ることで代謝性疾患である2型糖尿病や心筋梗塞の発症リスクを抑えると報告されている。いずれも本検討を支持する内容となっている。 今後は全国学会で本研究結果の報告をする予定である。
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