研究課題
PP6はセリン/スレオニンタンパク脱リン酸化酵素の1つである。申請者は、以前、マウス皮膚ケラチノサイトにおいて、PP6遺伝子 (Ppp6c)を欠損させると、腫瘍性KRASによる腫瘍発生能が、著しく増進することを見出した。Kurosawa K. Cancer Sci. 2018このことは、マウス皮膚において、PP6が腫瘍性RASによる腫瘍発生を抑える機能をもつことを示した。一方で、頭頸部扁平上皮がんは、高頻度にRTK/RAS/PI3K経路にゲノム異常があることが知られている。また、高頻度でp53の変異がある。そこで、本研究では、頭頸部扁平上皮においても、PP6が変異型KRASによる腫瘍形成を抑える機能をもつか、またその機能をもつ場合、p53の変異の存在がどう影響するかを明らかにしたいと考えた。変異型RASや欠損型p53によるマウス舌がん発生へのPpp6c遺伝子欠損の影響を解析するために、下記の3種類のマウスの作製に成功した。用いるマウスは、①舌で2重変異(変異型KrasとPpp6c欠損)をおこすマウスK14-Cre(TAM);Kras(LSL-G12D/+);Ppp6c(flox/flox) 、②舌で3重変異(変異型Krasとp53欠損とPpp6c欠損)をおこすマウスK14-CreTAM; Kras(LSL-G12D/+);p53(flox/flox); Ppp6c(flox/flox)である。これらマウスの舌にタモキシフェンを投与することにより、KRAS(G12D)の発現、p53の欠損、Ppp6cの欠損が起こることが確認された。これらマウスを用いて、現在、変異型Krasとp53欠損存在下での、Ppp6c欠損の影響を調べている。それぞれ、コントロールのPpp6c(+/+)より、Ppp6c欠損において、腫瘍の発生が著しく促進されることを見出した。
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Cancer Sci.
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10.1111/cas.14895.