研究課題
若手研究
加齢性難聴の病態解明および治療法の開発のため、内耳慢性虚血による聴力障害モデル動物の作成を試みた。我々がこれまで用いてきた一過性内耳虚血モデルを応用した。スナネズミは成長に伴い後交通動脈が欠損するため、頚部で両側椎骨動脈に狭窄を生じさせることで、AICAの末梢枝である内耳動脈の血流障害を作成することができる。本モデルでは、アメロイドコンストリクターと呼ばれる血管狭窄を来すデバイスを椎骨動脈に留置することで、内耳慢性虚血が引き起こされる可能性が示唆された。
神経耳科
加齢性難聴はコミュニケーション障害を引き起こし、うつ病や認知症の誘因となるため、超高齢化社会を迎えた今、その予防や治療が喫緊の課題である。これまでの疫学調査では、加齢性難聴と虚血性疾患との関連が報告されているが、モデル動物が存在しないため、その病態や治療法が十分には研究されていない。本モデルの病態を解明すれば、内耳慢性虚血の詳細な病態を把握できるとともに、あらたな予防や治療方法の探索につながると期待される。