研究課題
本研究の目的は、IgG4関連涙腺唾液腺炎(IgG4-DS)の顎下腺病変部に存在しているCD8陽性濾胞ヘルパーT細胞(CD8+Tfh)の機能を解析し、同疾患におけるCD8+Tfhの役割を明らかにすることであり、最終的に同疾患の病態解明と新規治療法の開発を目指している。現時点での研究実績は以下の通りである。①IgG4-DS患者の顎下腺組織からTfh細胞を抽出し遺伝子発現を解析した結果、IgG4-DS患者のTfhで細胞傷害性T細胞(CTL)関連分子が高発現していることを発見し、PCRおよびフローサイトメトリーでCD8+Tfhの存在を確認した。②CD8+TfhはIgG4-DS患者の顎下腺組織の他、小児扁桃にも高率に存在していることを発見し、扁桃のCD8+TfhもIgG4-DS患者のCD8+Tfhと同様にCTL関連分子を高発現していることを確認した。③扁桃のCD8+TfhとCD8陰性Tfh細胞(CD8-Tfh)をB細胞と共培養し、培養上清中のIgGをELISA法で定量したところ、CD8-Tfhと比較してCD8+TfhとB細胞の共培養上清でIgGの減少を認めた。また同様にグランザイムB(GZMB)を定量したところ、CD8+Tfh単独培養した上清と比較して、B細胞との共培養上清でGZMBが減少していることを確認した。さらに共培養するB細胞をナイーブB細胞とメモリーB細胞に変更し同様の実験を行ったところ、IgG減少とGZMB減少はメモリーB細胞との共培養でより顕著であることを確認した。④活性化したCD8-TfhをIL-2とIL-7で刺激し培養を行うとCD8+Tfhが一部出現することをin vitroで確認した。昨年よりこれらの所見をより確かにする追加実験を行い、現在これらすべてのデータをまとめて論文投稿の準備をすすめている。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Modern Rheumatology
巻: 1 ページ: 249-260
10.1080/14397595.2020.1719576