研究実績の概要 |
hTERT処理したヒト正常唾液腺由来の唾液腺腺管上皮培養細胞を用いた。IFNγ処置にて、GBP-1およびタイト結合分子claudin-7, LSRの発現増加と、上皮バリア機能の亢進を認めた。GBP-1のsiRNAの投与で、INFγによるclaudin-7, LSRの発現増加は抑制され、上皮バリア機能亢進を抑制した。GBP-1のknock downにより、claudin-7とoccludinの細胞質内へのendocytosisが見られた。IL-1βとTNF-αそれぞれの処置により、IFNγ処置と同様のGBP-1, claudin-7, LSRの発現亢進が見られ、バリア機能亢進がみられた。これらの変化はGBP-1のknock downにより抑制された。 IgG4関連疾患においてTh2サイトカインIL-33の関与が知られており、TSLPとIL-33を処置したが、GBP-1や上皮バリアに影響を与えなかった。 GBP-1や上皮バリア亢進のシグナル伝達経路を調べるため、PKCα, PKCδ, NF-κB, p38/MAPK, JNKのinhibitorを処置すると、PKCα inhibitorがGBP-1, claudin-7, LSRを増加させていた。また、IgG4関連疾患患者の唾液腺組織において、GBP-1, claudin-7, LSRの高発現を認めた。 以上より、ヒト唾液腺管上皮細胞において、GBP-1およびタイト結合分子claudin-7, LSRは、バリア機能の維持に関与している。GBP-1がヒト唾液腺管上皮細胞においてタイト結合に局在し、MLCKを介してタイト結合分子の安定を維持している。PKCα inhibitorがヒト唾液腺管上皮細胞の上皮バリア機能をGBP-1を介して誘導しており、GBP-1がPKCαシグナル経路を介してタイト結合を制御している、と考えられる。
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