研究課題/領域番号 |
19K18782
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
木村 朱里 北里大学, 医学部, 助教 (40623137)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 気管狭窄 / 細胞外シグナル調節キナーゼ / マウス気管狭窄モデル |
研究実績の概要 |
気管狭窄・瘢痕声帯は外科手術を施行しても難治性・再発性の疾患であり治療に難渋することが多い。今回、気管・咽喉頭の創傷治癒過程におけるExtracellular signal-regulated kinase 細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK) のメカニズムの解明を目的とし本研究を行っている。今回の目的と実績概要を以下にまとめる。 1.新規のマウス気管狭窄モデルを作成した。気管切開後に気管孔上方の気管前壁を焼灼し1週間後に第1-2気管を摘出した。この焼灼群において横断面の組織学的評価を行い、狭窄率を無処置群、気管切開のみの群と比較したところ、無処置群と比較して有意に狭窄率の上昇を認めた。2.無処置、焼灼5分後における気管内リン酸化ERKの局在を免疫組織学的に評価した。両群においてERK1/2リン酸化は上皮基底細胞に認めた。3.無処置、焼灼5分後、30分後、90分後の気管を摘出し、ウエスタンブロット解析にて気管内ERK1/2リン酸化を定量評価した。焼灼5分後にERK1/2リン酸化が増加し、以降は減少した。4.ERK1/2上流に位置するMAPK/ERK kinase(MEK)に対する阻害剤を焼灼30分前に投与した群と非投与群において、焼灼5分、30分、90分後の気管を摘出し気管内ERK1/2リン酸化を定量評価した。阻害剤投与群では非投与群と比較して焼灼後の気管内ERK1/2リン酸化の著明な減少を認めた。5.阻害剤を単回投与した焼灼群、連日(5日間)投与した焼灼群における1週間後の気管狭窄率を無治療焼灼群と比較した。気管狭窄率は無治療群と比較して阻害剤単回投与群では有意な低下は認めず、阻害剤連日投与群では有意に低下した。 本研究成果より、ERK1/2は気管狭窄に対する新規治療法の標的となる可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気管瘢痕狭窄マウスモデルを作成した。このモデルを使用しERK上流のMEK阻害剤を投与することによって気管狭窄・瘢痕予防効果の検討を行うことができた。 今後はERK1/2それぞれのノックアウトモデルを用いた研究も可能となると考える。
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今後の研究の推進方策 |
EERK1または2の関与を詳細に調べる目的で、野生型とERK KOマウスにおける創傷治癒・瘢痕形成への影響を検討する。ERK1、ERK2のKOマウスを各々を比較し、ERK1、2の役割を明らかにする。ERK発現を調節する薬剤や遺伝子治療などによる瘢痕形成抑制、正常粘膜再生促進効果などの治療効果を検討する。さらに気管狭窄モデルを用いて、炎症や線維化に関わるとされるサイトカイン(IL-4,13,TGF-βなど)やマクロファージ、好中球などとの関連性も解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定学会の多くがオンライン開催となり、旅費分の経費が少なくなった。 今後は、補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施や学会参加、論文投稿などに使用予定である。
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