研究課題/領域番号 |
19K18784
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
菊地 瞬 東京慈恵会医科大学, 耳鼻咽喉科学, 助教 (70817262)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 副鼻腔炎 / 骨増生 / 細胞シート |
研究実績の概要 |
内視鏡下鼻副鼻腔手術で鼻粘膜を温存できず広範囲に骨が露出した部位に骨増生が生じる場合がある。 特に前頭洞の排出路が骨増生により閉鎖することで、副鼻腔炎症状の再燃が生じる。露出した骨面に鼻粘膜上皮を速やかに再生させることで骨増生を抑え、副鼻腔炎症状の再燃を予防することができると考える。我々の教室では、現在ヒト臨床研究が行われている中耳粘膜再生の先行研究で家兎を用いた動物実験を行い、鼻腔粘膜上皮細胞シートの中耳への移植により非常に良好な粘膜再生が起こり、骨や肉芽の増生が抑制されること確認している。この技術は鼻内においても応用できると考えた。鼻腔粘膜上皮細胞シートを用いた副鼻腔疾患の再生治療の前臨床研究として、家兎の病態モデルおよび治療モデルを作成し、その効果を解明することを目的とする。 2019年度の計画としては骨増生モデルの再現性および病態について検討する、並行して細胞シー トの技術について再確認し安定化および改良する点があるか検討することとした。 想定した手技(鼻粘膜剥離のみ行う)で再現性よく骨増生を生じさせることができた。コントロールとの差は動物用CTで明らかであった。骨増生の病態は本モデルの経時的変化を見ることにより解析している段階である。鼻粘膜上皮細胞シートは従来の技術で安定的に得ることができた。 これらの二つの技術を確立することにより、今後は治療モデル作成を行う。鼻粘膜上皮細胞シート移植の手技の確立および作成した治療モデルの解析を行う。また骨増生の病態を解析を行うことにより実臨床への応用ができると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
治療モデル作成にあたり、細胞シート移植は自家移植を想定している。そのために鼻腔形態を破壊せずに鼻粘膜採取をする必要がある。内視鏡を用いた手技で対応予定である。 治療モデルの作成は当教室で行ってきた技術により可能と考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
3Rの原則にのっとって他実験と並行して同じ動物を使用しているため。 今後は病態解析に抗体等が多く必要になってくると考えられるため、そちらで使用予定。
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