研究課題
本研究では脳機能イメージング、特に近赤外分光法(near-infrared spectroscopy, 以下NIRS)による聴覚検査としての診断的意義を検討した。具体的には、定常状態を一定に保つために、restingの時間を調節する、計測データを被験者にフィードバックする、などの手法を用いて信頼性の高いNIRS計測を行う実験系を確立すること、既存の臨床指標を用いて得られた聴覚野におけるNIRS信号の臨床的指標としての妥当性を明らかにすることである。また、本研究では、聴覚野におけるNIRS信号から、自律神経活動によって起こる信号を、数式をもちいて分離するアルゴリズムを用いることで、信号ノイズ比を高めて実験を行った。正常成人6名に対し、気持ちを落ち着かせることを事前に伝えるだけでなく、実際のNIRS信号の波形を見せてフィードバックを行ないながら、基線が安定するようにコントロールできるかを試みながら、繰り返し実験を行った。6名中3名においては、聴覚課題に伴うNIRS信号の変化がはっきりと認められた。一方で、3名においては、課題とは全く無関係にNIRS信号が変動していた。この原因として、定常状態(rest)時の波形を安定化できなかったために、計測がうまくできなかったことが考えられた。今後はNIRS信号の臨床的意義について検討するため、上記で得られた聴覚課題に伴う聴覚野の活動の指標であるβと既存の臨床的指標(純音聴力検査や語音聴力検査)の相関分析を行う予定である。
3: やや遅れている
COVID-19の流行により、被験者のリクルートが行いにくい状況があるため
COVID-19の影響が緩和されたため、被験者のリクルートにより研究が進捗すると予想している
COVID-19の影響で被験者のリクルートが十分にできなかった。今年度は被験者を募り、安定したNIRS計測の実験系を確立する必要があり、その上で聴覚野におけるNIRS信号の妥当性について、既存の臨床的指標を用いて検証する
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