真珠腫組織を用いてPCR法によるNotchシグナル関連遺伝子の発現分析と免疫組織化学染色によるNotchシグナル関連タンパクの発現分析を施行したところ,正常外耳道皮膚に比べて真珠腫組織におけるNotch1遺伝子の発現は有意に低下し,HES1遺伝子の発現の低下もみられた.さらに,Notch1とHES1タンパクの発現は,正常外耳道皮膚に比べて有意に低下していた.Notchシグナルはケラチノサイトの増殖停止と分化を導くことが報告されているが,真珠腫におけるNotch1とHES1の発現低下は,ケラチノサイトが分化から増殖へとバランスを変化させ,病的状態の原因を引き起こしている可能性がある.
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