研究課題/領域番号 |
19K18795
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
越塚 慶一 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (00791609)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | マイクロRNA / 頭頸部扁平上皮癌 / エクソソーム |
研究実績の概要 |
申請者は、頭頸部扁平上皮癌患者の臨床検体から頭頸部扁平上皮癌マイクロRNA発現プロファイルを作成し、癌抑制型マイクロRNAの探索を継続してきた。具体的には頭頸部扁平上皮癌において、発現抑制されていたmiRNA-99a-5p、miR-99a-3pが癌抑制型マイクロRNAである事を証明した。特にmiR-99a-3pはパッセンジャー鎖であり、機能性を持たないマイクロRNAと考えられていたが、実際には癌抑制機能を有しており、癌遺伝子であるSTAMBP, TIMP4, TMEM14C, CANX, SUV420H1などの遺伝子を標的にしてることを解明した。これらは頭頸部扁平上皮癌の予後を予測するマーカーとなる可能性がある。特にSTAMBPはTCGA(The Cancer Genome Atlas)データベースを用いた臨床病理学的解析において、高発現群が有意に予後不良であることが明らかとなった。臨床検体を用いた解析を継続して行い、この遺伝子の臨床的な有用性を検討していく。マイクロRNAを起点とした癌分子ネットワーク解析が、頭頸部扁平上皮癌転移促進機構の一端を明らかにしたと考えられる。 また、臨床検体の収集を継続して行っており、頭頸部扁平上皮癌患者の血清よりエクソソーム由来マイクロRNAの抽出を継続している。現在、次世代シーケンサーを用いた解析の準備を行っており、RNAシークエンスなどの解析を行うことでエクソソーム由来マイクロRNA発現プロファイルを作成する方針である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
頭頸部扁平上皮癌臨床検体を用いた解析については、順調に行うことが出来ていると考える。 しかし、患者血清からクオリティの高いエクソソーム由来マイクロRNAを抽出することが安定的に行えておらず、マイクロRNA発現プロファイル作成に至っていない。実験手技の成熟や、使用薬品などの工夫により改善を図る方針である。 また、我々の研究室では、癌細胞のマイクロRNAのseed配列を、CRISPR-Cas9 によるゲノム編集技術で編集し、癌促進・治療抵抗性の機序について機能解析を行っており、マイクロRNAの解析準備は整っている。
|
今後の研究の推進方策 |
クオリティの高いエクソソーム由来マイクロRNAが準備出来次第、次世代シーケンサーを用いたRNAシークエンスを行う予定である。その解析データからマイクロRNA発現プロファイルを作成する。我々の研究室で既に作成しているプロファイルとの比較を行い、エクソソーム由来マイクロRNA発現プロファイルに特異的なマイクロRNAを検討する。そのようなマイクロRNA見出すことができれば、頭頸部扁平上皮癌における血清マーカーとなりうる可能性がある。 さらに癌細胞のマイクロRNAのseed配列を、CRISPR-Cas9 によるゲノム編集技術で編集し、癌促進・治療抵抗性の機序について機能解析を行っていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は実験物品や学会などの旅費にて助成金を使用した。しかし臨床検体エクソソーム由来マイクロRNAの準備ができず、次世代シーケンサーを用いたRNAシークエンス解析が出来なかったため、次年度使用額が生じた。RNAシークエンス解析は1回のオーダーで数十万円の費用がかかるため、次年度使用額と次年度助成金を合わせて、解析を行う計画である。
|