研究課題/領域番号 |
19K18799
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
八木 千裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (00837669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PPPD / 持続性知覚性姿勢誘発めまい / 慢性めまい / functional MRI |
研究実績の概要 |
PPPDは、2017年に診断基準が定義されたばかりの新しい慢性めまい疾患であり、病態解明の第1歩としてまずは臨床像の詳細を把握するべく、重症度の評価およびサブタイプの有無について検証を行った。診断基準をもとに独自の問診票を作成後データの収集を行い、作成した問診票が高い信頼性及び妥当性を示すことを確認した。またこの問診票を用いて、サブタイプの有無についての検証を行い、PPPDが視覚刺激で特に症状が誘発される群・能動運動で特に誘発される群・混合型の3つのサブタイプに分かれる可能性を明らかにした。前述の結果は既に英語論文として発表済みである。また臨床検査上、PPPDに特異的な他覚的検査がなく、診断を困難にしている要因の1つと考えられたため、頭部傾斜自覚的視性垂直位検査を導入し、本検査がPPPD診断において95.2%の特異性を示すことを明らかとした。本結果は、英語論文として査読付きのジャーナルへ投稿し、現在返答を待っているところである。 PPPDの症状は、①立位姿勢、②特定の方向や頭位に限らない能動的あるいは受動的な動き(体動)、③動いているものあるいは複雑な視覚パターンを見たとき(視覚刺激)、の3つの因子で増悪するが、このうち③の視覚刺激によりめまい症状が増悪するという点は、特に疾患特異的であると言える。PPPDは、空間識を形成する感覚系、すなわち体性感覚、前庭覚、視覚の統合、脳内処理の障害により機能的に姿勢制御が破綻し発症しているのではないかという仮説のもと、めまいを誘発するような視覚刺激を提示しながらfunctional MRI (fMRI)を撮像するという実験体制を構築した。2020年度は、前年度に行った予備実験をもとに視覚刺激を固め、本実験を開始の上症例の蓄積を重ね、患者6名及び健常被検者6名の撮像を終えたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度内にfMRI実験の症例収集を全て終了する予定であったが、新型コロナウイルスの流行に伴い一時実験が停止し、予定通り撮像を行うことができなかった。現時点で目標症例数の半数程度が終了したところであり、進捗状況としては遅れているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、予定症例数を達成すべくfMRI実験を重ね、データの解析を通してPPPDの責任病巣の同定を行い、学会発表並びに論文発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行に伴い、研究成果を発表する予定であった国際学会・国内学会が中止や延期、Web開催への変更を余儀なくされたため、次年度使用が生じた。今後はより多くの学会発表・英語論文発表を目指し、2021年度の使用を予定している。
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