Epstein-Barrウイルス(EBV)関連上咽頭癌組織は病理学的にリンパ上皮腫といわれるほど著しい細胞障害性T細胞(CTL)が浸潤している.これら機能していないCTLに対して免疫チェックポイント阻害剤が著効すると予想されたが,その効果は予想を下回るものであることが判明した.そこで,galectinはM2型の腫瘍関連マクロファージを誘導すること,上咽頭癌細胞はEBV癌蛋白LMP1発現エクソソームを分泌すること,そして,LMP1はgalectinを誘導することから,この免疫抑 制機構にはM2と呼ばれる腫瘍関連マクロファージの誘導機構活性化が関与することが推察される.本研究では,仮説「上咽頭癌腫瘍微小環境においてEBV癌蛋白LMP1発現エクソソームが腫瘍関連マクロファージを介して免疫寛容を誘導する」を検証する.すなわち,1. LMP1発現エクソソームの細胞内からの放出機構と2.放出後の腫瘍関連マクロファージへの影響を解析する. 本年は薬剤によるマクロファージ誘導変化の検証について行った。 1) ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬とmockで調整したLMP1発現細胞,LMP1非発現細胞,それぞれからのエクソソームを抽出し,フローサイトメトリーでM1型とM2型の解析を行い、それぞれの複数の薬剤で同様の実験を施行した。
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