研究課題
鼻副鼻腔におけるNO産生メカニズムと好酸球性副鼻腔炎の病態形成への関与機序を解明するために、2つのNO産生経路に着目し研究を行った。①LRP-1(Low density lipoprotein receptor-related protein-1)細胞膜受容体を介する経路:鼻・副鼻腔疾患におけるLRP-1の発現の違いと、鼻粘膜組織におけるLRP-1の局在の違いをreal time PCRと免疫組織化学で検討した。その結果、コントロール群と比較し、慢性副鼻腔炎群では、LRP-1遺伝子の発現が有意に低いことがわかった。さらに、好酸球性副鼻腔炎群と非好酸球性副鼻腔炎群で比較したところ、好酸球性副鼻腔炎群でLRP-1の発現が低かった。局在に関しては、鈎状突起と比較し鼻茸組織においてLRP-1の発現が有意に低いことがわかった。鼻腔NOはコントロール群と比較し、慢性副鼻腔炎群で有意に低く、特に好酸球性副鼻腔炎群でより低値になることから、LRP-1は鼻腔NO産生に関与することが示唆された。②内臓脂肪組織が産生するアディポサイトカインを介する経路:内臓脂肪がアレルギー疾患の増悪因子であるという報告は多数ある。そこで、鼻・副鼻腔疾患患者の内臓脂肪とBMI、鼻腔NOの関係を検討した。Panasonic 内臓脂肪計 EW-FA90を用いて、内臓脂肪面積(Visceral Fat Area : VFA)を測定した。その結果、BMIは好酸球性副鼻腔炎群と非好酸球性副鼻腔炎群で有意差はなかったが、VFAは好酸球性副鼻腔炎群で有意に高値であった。さらにVFAが高値なほど鼻腔NOが低い傾向があることがわかった。以上より、内臓脂肪の鼻腔NO産生への関与が示唆され、さらに鼻腔NOは術後再発の指標となる可能性があることから、内臓脂肪も鼻・副鼻腔疾患の予後を左右する因子となる可能性が考えられた。
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